再生たんすのお届けでした。

晴れ。    秋晴れです。

朝晩の風は冷たくなり、本格的な秋を迎えようとしています。

今日は、再生桐たんすのお届けに行って来ました。
午前中は弟が新潟市へ、午後からは私が燕市までお届けに行って来ました。

午前中のお届けは、との粉仕上げの三つ重ねの和たんすでした。との粉仕上げとは、桐たんすの伝統的な仕上げ方法で、
「との粉」と染料である「やまと液」を水で溶いて刷毛で塗っていくという伝統的な仕上げ方法。桐たんすらしい仕上げで、不動の人気がある仕上げです。

そして午後から私がお届けした再生たんすは、三つ重ねのたんすを、2つに分けて使いたいとの要望で再生しました。下台は独立して使い、中台と上台を重ねて使うというちょっとおしゃれな使い方。

仕上げは、こげ茶色の天然オイルで仕上げ、金具は今まで付いていた金具をメッキし直して使いました。素敵なお部屋の和室に、横に並べておいた使い方はとっても素敵です。

金具もなかなか凝った金具でしたので、「メッキし直して使いましょうか」と提案させていただき、こげ茶色のカラーと、当時の凝ったデザインの金具も、ピッタリと相まっていい雰囲気に仕上がりました。

K様、ありがとうございました。

桐たんすは、古くなって壊れていても、修理・再生して改めて使っていける、本当にエコで素晴らしい日本の伝統文化です。
修理の仕方や仕上げ次第では、洋風にも和風にもお使いでき、お部屋のインテリアとしても十分に活用出来ます。

最近では、若い方からご年配の方までご依頼が多く、捨てずに使っていくという日本人の大切な生活スタイルが、改めて見直されており、桐たんす屋としては嬉しい限りです。

桐たんすの木取り  板を切る  「裏板」

今日は、木取りと呼ぶ、注文が入った桐たんすの各部分の板を、大まかに切っていく作業です。

まず私は、注文が入ったらその図面を1枚1枚書いていきます。そして、倉庫に行って山のように積んである板の中から、図面を見ながら、一枚一枚板を選ぶところから始めます。

これが結構な作業で、納得する板がないと、積んである板を退けて、良い板を見つけるまで板と格闘しなければなりません。そうして何十枚か見つけた板を、大まかですが「裏板」、「底板」、「盆底板」、立側板、地板、などなど、各部材の板を切っていくのです。

今日は、裏板を中心に切る作業でした。

たんす本体の裏側を支える大事な板ですので、見えない裏側ですが、そこはかなりいい板を私は使います。裏板は長さもあり、
幅も太い板を主に切っていきます。

そうして注文のたんすの裏板を切り終えれば、次の部材の板を切っていくという感じで、少なくても半日、多いと一日、この横切りの機械で板を切っていくのです。

ノコギリが回転し、その上に乗せた板を切っていくという至って、原始的な機械ですが、
これが桐たんす屋の機械、いかにも桐たんす屋っぽくて、私は好きです。

この後は、反りや狂いのある板を熱で平らにしていく作業。
これは後日に。

修行先の桐たんすが届きました。

雨。  肌寒いです。

新潟では、所々、稲刈りも始まり味覚の秋が始まってきました。

そんな中、先日、桐たんすの修理をご依頼いただきましたお客様から桐たんすが届きました。運送会社さんが梱包をほどき、倉庫に置いてくれた桐たんすをひと目見たときにピン!と来ました。

観音開きの中は、びっしりとカビが生えており、桐たんす全体もカビだらけです。

もしかして、この桐たんす、私の修行先で作っていた桐たんすでは・・・。
そんな感じがしたので、桐たんすの扉を開けて中を見てみると、やはりそうでした。
幅4尺の1寸5分厚の立派な胴丸の和たんすでした。

そこには紀州桐たんすの名前が入った「伝統的工芸品シール」と、製作者の名前が。「中田静夫」製作と。私が修行していた31年前に、当時、現役バリバリで働いていた「なかたはん」と呼ばれていた、その職人さんの名前が。

思わず、当時のことがフラッシュバックしてきました。
もう、この会社はなくなってありませんから、いいと思いますが、「和歌山富士木工」という会社で、高校卒業後の2年間、修行させていただきました。

当時、和歌山県の桐たんす工場では一番大きな会社で、職人さんも全員で20人はいたと思います。私が行った頃は、まだ紀州桐たんすは伝統工芸に指定されれいなく、当時の社長が紀州桐箪笥組合の理事長をされており、伝統工芸品指定に向けて頑張っていたことが思い出されます。

この桐たんすの修理を依頼して来られたお客様は石川県のお客様。私も、修行時代、トラックにたんすを積んで福井県、石川県、富山県と取引き先にたんすを配達して来ましたので、石川県ならばこの家具店でお求めになったんだな、と分かります。

まだご存命なのだろうか、「なたかはん」あの頃は、辛かったけど楽しかったなぁ。
久しぶりに修行時代の頃を思い出し、懐かしくなりました。

京都での展示会です。

    

曇り。    明日からは雨みたいです。

今朝起きたら、テレビでは北海道の地震のニュースをトップニュースで伝えていました。
被害に合われました多くの皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

大水害、台風、地震と、今年の日本は被災大国です。何とか、この困難を乗り越えて頑張ってください。出来る限り応援したいと思います。

そして、今週末は桐の蔵の展示会を京都で行います。春以来の京都での展示会です。関西地方や中国地方、四国地方からもお出かけいただける展示会です。

どうぞ、皆様、お時間をお作りいただき、お出かけいただければ幸いです。
心より、お待ちしております。

岩手県まで桐たんすのお届けでした。

岩手県は晴れ。  台風一過でした。

昨晩の新潟県は夜に台風21号が通り、ものすごい風と雨でした。干してある板が飛ばないかが心配で、見回ってから帰宅したのですが、まだ、現状は把握出来ないです。

そんな中、今日は岩手県宮古市まで桐たんすのお届けに行ってきました。昨日の時点で、台風の影響が心配され、お客様から「いつでもいいわよ」とお電話を頂いておりましたが、予報を細かく見て、明日は晴れると判断し、今日のお届けを決行させていただきました。

起床は午前4時。
夜の強風の影響でほとんど寝られず、朝を迎えました。

弟と工場で待ち合わせし、4時半過ぎに出発。一路、岩手県に向け磐越道から東北道をひた走ります。岩手県へは20年ほど前に一回、配達に行ってことがあり、それ以来、ホントご無沙汰。

盛岡南インターまでは、所々雨に遭いましたが、スムーズに行け、そこから国道106号線をひたすら2時間ほど走ります。まだまだ復興中のた目のダンプが多いです。

予定よりも幾分早く、11時前にお客様のご自宅に到着し、和室に別注の和たんすをお届けさせていただきました。K様、本当にありがとうございました。

その後は、お茶とお菓子を頂き、大震災のお話を聞き、ご自宅を後にしました。帰りも至ってスムーズに、午後6時過ぎには工場に到着でした。

お求めいただくまでに、何度もお電話をいただき、お話させて得いただきました、今回のお客様。
やはり、高価なものですので、その気持ちは分かります。なので、直接お会いし、お届けさせていただくことで、その不安も少しはなくなると思っています。K様、本当にありがとうございます。

桐たんすを仕上げる   「桐を焼く」

曇り   台風が近づいています。風が強いです。

今回は桐を焼いて仕上げる「焼き仕上げ」。

桐たんすの仕上げ方法(塗装)にはいくつかあって、伝統的な「との粉」仕上げが一般的ですが、その他、桐を焼いて仕上げる「焼き仕上げ」や、焼き仕上げの中でも、焼いてからとの粉を塗り込んでいく「時代仕上げ」

そして、最近では植物オイルを主成分とした「天然オイル」仕上げなど、桐たんすの仕上げ(塗装)も、様々なやり方が生まれ、お客様のお好みに応じて提案できるようになって来ました。

今回の「焼き仕上げ」は、桐の蔵でもよく行う、桐を焼いてすすを落とし、その後、桐たんす用のロウを塗り込んで仕上げる、至ってシンプルな焼き仕上げ。

焼いてすすを落とすときに使う、「うづくり」が木目をしっかりと浮き立たせ、こげ茶色の地色と相まって、和風なのにどこか洋風さも感じられる仕上げになります。

桐は火事になっても、表面は焦げるのですが、焼き切るまでに時間がかかるという桐の特性を活かした仕上げ方法です。

そんな焼き桐仕上げですが、焼いている最中は細心の注意が必要です。うっかりするとすぐに火がついて、そこが焦げてしまいます。

私も「あ~~って!」何度も焦がした経験があり、そこから生み出した出来るだけ焦げない方法もあります。

職人って、そんな試行錯誤しながら技術を会得していくんですよね。

桐たんすを作る道具たち 「胴付鋸」(どうづきのこぎり)

曇のち晴れ。  台風前のフェーン現象でしょうか。

今回の道具は「胴付鋸」

桐たんす職人は、普通の鋸はあまり使いません。
普通、鋸と言えば、両方に刃が付いているものを鋸と呼ぶのですが、桐たんす職人が使う鋸は、片方に刃が付いているものがほとんど。その中で、今回は「胴付」と呼ぶ、鋸を紹介します。

私がまだ、和歌山での修行時代。
親方に、「胴付取って!」と言われ、?だったことを思い出します。

その時は、何で「胴付」なんだろうって思ったのですが、後になって何となく分かりました。

胴付鋸って、刃が付いている反対側に背金が付いているんですよね。
これがあるお陰で、ノコが曲がらないように正確に真っ直ぐに切れるようになってるのです。

多分、この背金の事を胴付の「胴」と呼んだのではないかと思います。
胴付鋸は細かい作業の時に主に使うのですが、私も修行時代、真っ直ぐに切れなくて、よく怒られました。

「ほら、見てみろ、曲がってる」と。

そんな事で、「胴付鋸」って言うと、修行時代を思い出してしまします。

桐たんすを作る道具たち「端金」(ハタガネ)

今回は、三代目が送る「桐たんすの世界」をブログでお伝えしたいと思います。

昨日の、「屋根に干す」に引き続き、今回は、桐たんすを作る道具にスポットを当てます。

桐たんすを作るための道具は、数々ありますが、今回は「ハタガネ」板と板を貼る(接ぐ)ために用いる道具で、私達にとっては無くてはならない道具の一つです。

貼る板に接着剤を塗り、板の上下にハタガネを渡し、固定ネジを回して固定させ、締付けネジを徐々に回して締め付けていくという感じ。

言葉ではうまく言い表せませんが、とっても原始的な道具。

大きな工場では、高周波接着機などで、機械にかけて一気に接着できる機械が備わってる工場もありますが、桐の蔵は、一つ一つ、板にローラーで糊を付け、ハタガネを回して接着していくという、至って原始的なやり方。

桐の蔵では、板貼り担当の奥様が毎日、ハタガネを使って板を貼っていますし、私も、職人さんも毎日のように使う道具です。

この道具も、慣れないときちんと板が貼れずに、板が歪んだり、割れたりすることがあり、後々まで響いてくることがあります。

大きさも数センチの極小から、数メートルの極大まであり、板の大きさのよって使い分けます。

極大は、奥様のような女性ですと、ちょっと大変。桐たんす作りって、このような原始的な道具が今だに、現役として使われていることに、嬉しくなります。

時代は機械化、効率化を行く中、桐の蔵の工場では結構、真逆を行ってたりしますが、そこが結構好きです。
そんな桐の蔵のものづくりを、少しずつ、伝えていければと思います。

屋根に干す。

雲。 蒸し暑さが続きます。

新潟は、ここ数日雨が続き、カラカラに

乾いた桐板もやっと渋が流れ、いい感じになってきました。
そんな中、雨が降らない内に、3月に屋根に干した板を、ひっくり返す作業を行いました

桐板は、普通、外の広い場所にサンに立てかけて干すのですが、サイズの小さい板は、屋根の上にも干せるし、必然的に雨が当たるので、屋根の上は、板干すには、うってつけ。

昔は、どこの工場も、屋根の上に干してましたが、今では、あまり、見れなくなりました。3月から半年、表面渋を抜いた板は、これから、また半年かけて裏面の渋を抜きます。

こうして手間暇かけて、渋を抜いて、やっと使える板になります。

被害が出ないくらいに、もうちょっと、雨降って欲しいです。

やっと雨か・・・。

曇り時々雨。   蒸し暑いです。

 

日中はまだまだ暑さが残るものの、朝晩はずいぶんと涼しくなってきました。

しかし、今週は暑かったと言うか、熱すぎた。

 

新潟県内、隣の三条市は40度を超えました。

私もそんな報道のヤフーニュースを見て、その日の正午に、外へ出て見たが

確かに暑かった。

しかし、桐の蔵の工場の二階は、もっと暑かった。

 

その日、お客様が見えており、工場の中が見たいとのことで、

奥様に案内してもらったのですが、この暑さの中、仕事をしている

職人さんを見て、驚いていました。

 

仕事をしている場所の真上に、クーラーがあるとは言え、工場の二階は

40度を遥かに超えていましたから・・・。

 

そして今日は朝から曇り。

時々、雨も降り、気温も幾分下がって過ごしやすいですが、湿度は高め。

 

天気予報を見ると、今日から来週までは傘マークが並び、

やっと、雨が降ってくれる予報。

 

7月の梅雨の季節から、雨らしい雨は降っていませんので、農作物のためにも、

桐のためにも、今週に期待です。