先日のブログ「柾を切る」では、桐たんすの扉や引き出しの前板には「柾目」を使っていくことや、その柾目は木の木目で言えば「トロ」のような貴重で高価な部分である事などをお伝えしました。
柾割機に通して、一定の幅に切り込みを入れます。
その後、木の木目である「柾目」でも、木目は一直線ではなく少し曲げっているので、「柾割機」という機械に通して、柾を一定の幅に切り込みを入れます。
切込みを入れた柾を一本一本離して、接着剤を塗っていきます。
そして一定の幅に切り込みを入れた柾板を、切込みから一本一本離して、接着剤を塗り、ハタガネで徐々に締めながら、柾目を真っ直ぐに伸ばしていくのです。
ハタガネで締めながら、曲がっている柾目を真っ直ぐにしていきます。
この作業は、奥様が担当するのですが、私も和歌山の修行時代、この作業を朝から晩までずっとやっていました。
目直しをする前の柾(右)と、した後の柾(左)ピン!と真っ直ぐになります。
この作業(工程)をすることにより、曲がっていた柾目が、ピン!と真っ直ぐに伸びて、扉や引き出しに使える、真っ直ぐな「柾目」になるのです。
この作業は、一回で約10cmほどの柾目しか伸ばせなくて、それを繰り返し繰り返し、行っていくという、本当に手間も時間もかかる作業なのです。
なので、和たんす1本分(観音開きと引き出し)の柾目を作るのは、柾を切る事から始めると、柾の目直しまでで、私は2日ほどかかってしまう作業です。
桐たんす作りは、その殆どが手作業での作業ですが、本体を組み立てる以外の部分、木取りと呼ぶ、簡単に言えばパーツを作る作業でさえ、手作業に頼ることがほとんどなのです。
細かな柾目を作り出す作業は、こんなにも時間と手間のかかる作業なんですね。
桐たんすの表面(扉や引き出し)は、スッキリとした真っ直ぐな柾目。
この真っ直ぐな柾目が、桐たんすの命なんです。