2006年 3月 の投稿一覧

正確に、早く、そして楽に。

小雪。 もう車のタイヤ替えたのに。勘弁してよ・・・。
「正確に、早く」は、手作りが主な工場の職人としては、
常に、意識していること。
今日、私が板を張っていたら、職人、横山松雄が来て、
「ハタガネ」この位置だと楽だな・・・。とぼそっと言った。
ハタガネとは、板と板を合わせるときに使う鉄で出来た道具。
これが数まとまるとけっこう重い。
いつもは床に置いて、そこから持ち上げて取って使うのだが、
私は、それだと時間もかかり疲れるので、腰くらいの台上に
乗せて、そこからハタガネを取って使っていたのだ。
「正確に早く」は、どの業界でも、誰でも言う。
でも、そこに、「楽に」が加わる。
「正確に、早く、辛かったら」その作業は長続きしない。
いかに、負担が掛からず、楽に作業が続けられるかが、
いい職人といえるだろう。
一見、たいした事ないような事が、作業の流れのなかでは、
大きく関わってくることが多い。
今使った道具を、どこに置くか。
今あった場所に置くのと、違う場所に置くのとでは、
次の作業に入る時に、道具を探す時間が、違ってくる。
そんな、些細な事なのだが、優秀な職人は、そこにこだわる。
出来る職人は、作業の流れがあり、リズムがある。
一つ一つの、作業は、全て計算されているのだ。
この作業は、この道具をどこに置き、その次の作業のために、
こうしたほうが良い。と、まるで、プロ将棋士のように、
何手も先まで読んで、段取りを計算しているのだ。
その中で、こうしたほうが「早く、正確に、楽に」出来ることが
あれば、すぐにそれを真似する素直さも兼ね備えている。
それが、プロの職人である。
職歴30年以上を数える職人さんでも、常に、勉強なのだ。
「正確に、早く、そして楽に」
これができれば、本当に職人である。

ご縁って・・・・。

昨日までの新潟県上越市での展示会を終えて、
つくづく思った。
人と人のご縁って、ホント不思議だし、ありがたい。
もう少しで、ご縁が出来そうだったお客様。でも、結局、
ご縁はなかった。
そして最後に、ご縁を頂いたお客様。
ホント、ありがたかった。
ご縁を頂いたお客様と、ご縁がなかったお客様。
この差って、何なのだろうか。
「ツキ」って、とらえてもいいのかもしれないが
そんなに軽いものではない・・・と思う。
結局、この差って日常の行いかもしれない。
スポーツに置き換えれば、日々の努力か・・・。
この世界には勝利の女神は、必ず存在する。
絶対的に、有利に試合を支配していても、
何度も、得点のチャンスを逃してしまう。
これって、勝利の女神から突き放されているのかも。
ビジネスの世界でも同じような気が・・・。
努力は、必ず報われるが、運やツキも必ず存在する。
それを味方につけるには、日々の行いしかないような、
気がする。
う〜〜〜〜ん。
前向きに、がんばろう。
また明日から。

姉から妹への贈りもの・・・。

今日から、新潟県の上越市(新潟県の下のほう)で展示会を
行っています。
いつもは、県外での展示会なのでビジネスホテルにお泊りですが、
県内なので、帰ってくることが出来ます。
今朝一番のお客様は、その街から少し行ったところにある街の
お客様でした。
お話を伺い、そのお客様にとってどれが一番必要なものなのかを、
私なりに判断して、提案をさせていただきました。
お話を聞いてみると、そのお客様は、長女。
でも、お嫁に行ってしまったのです。
で、実家に残った妹にプレゼントするために、桐たんすを
お求めいただいたのでした。
う〜ん。
なんだか、お話を聞いていて感動でした。
I様。
本当に、妹思いでありながら、きちんと姉としての
気遣いを感じました。
本当に、ありがとうございました。
今日、朝、展示会場に向かう車の中で流れてきたFMラジオ。
その話は、野球のWBC(ワールドベースボールクラシック)
そこで、優勝に導いた「イチロー」の貢献度の話でした。
そのバックに流れていた曲が「栄光の掛け橋」?だったかな。ゆず?・・・
この曲が泣けました。
朝から、もう感動でした。
I様。
ホント、素晴らしいお姉さんです。
「届けるまで、妹には黙っていてくださいね・・・」と
一言を残して帰られました。
まだまだ、お若いのに(私くらいかな・・・)
この言葉。そうそう言えません。
とっても、いい家族なんだろうな・・・と、感じました。
これだけでも、ホント、いいご縁でした。

職人としての生き様

昨日、時間を忘れて仕事。
気が付いたら、夜9時を回っていた。
家に着いたら、9時半。
もう、NHKの「プロフェッショナル」(いつもこのネタですみません)
は後半に差しかかっていた。
急いで、お風呂に入ったが、見れたのは後半の15分だけ。
ホント、残念だった。
見ていた方は、どう感じたのだろうか。
私は、自分自身に置き換えながら後半の15分を見てしまった。
静岡県にあるお宅の、ある一部屋を土壁に塗る仕事。
そのご自宅は、潮風が強く、土壁が乾くまでの工程が難しいと
のことだった。
最初は土壁にムラが出てやり直し。
修理ではなく、一からやり直すのだ。
この時点で、すでに親方の持ち出しになると言う。
2回目は慎重に、慎重を重ねて行う。
しかし、数日後、現場に見に行った職人さんが、髪の毛ほどの割れを
発見した。
施主さんは、これで構わないと言うのだが・・・。
でも、その左官職人さんは、やり直しを決めた。
もう3回目。
そこで、ベテランの職人さんは何日もかかって施主さんに迷惑がかかる。と
言ってもめるのだが、その主人公の職人は、「施主さんはどっちがいいのか」を
考えて欲しいと訴えた。
「割れがあっても、納期通りに終わった方が良いのか」、
「遅くなっても、満足してもらった方が良いのか」
この言葉を聞いて、今の自分の気持ちを恥じた。
こんなところで言わない方が良いと思うが、
あえて恥を忍んで、言わせていただく。
ある遠方の方(新潟から見れば遠方)から、ある方を
会して紹介していただいた、大切なお客様。
婚礼家具としてお求めいただいた高価な桐たんす。
それが完成し、お届けの段階になって、いつもお願いしている大手運送会社
さんに運んでもらうことになった。(ある程度は桐の蔵で運ぶのですが・・・)
お届けする前日、ターミナルで運送会社さんがその桐たんすを
落としてしまったのです。
夜、連絡を受けて、すぐに戻してもらうように指示したのですが・・・
結婚する際に、あつらえた特別な逸品。
婚礼家具。
謝るだけですまされる問題ではありません。
私はその時、「すぐに、修理してお届けします」と言ったのです。
(結婚式はその週で、間に合わせようと思ったのです・・)
後で、考え直して、新しい物をお作りしてお届けさせていただきます。
とお伝えしたのですが、そのお客様は、「これをいただきます」と
言ってくれたのです。
私は、このお客様の言葉に甘えてしまったのですが、この左官職人さん
だったら、お客様はどうしてほしいのか?を真っ先に考えたのではないか?
と番組を見ながら思いました。
一番良いことは、何事もなく喜ばれて納まる事なのですが、
いざ、事が起きたときに、その人間性が出てしまうものです。
職人の作り出すものは、言い換えればその職人の分身みたいなものです。
何がどうあれ、最後まで喜んで満足していただけるものづくりを目指して
いかなければならないと、ホント、思いました。
まだまだ、私は甘い。
この番組を見て、職人としての生き様を感じました。
いいお客様と出会えています。
これだけが、救いのようです。
この番組を見て、つい、私自身の中に思いを書いてみました。
追伸
今週は、東京で展示会です。
会場は、今、一番の注目スポット「表参道ヒルズ」の裏というか
隣と言うか、にある、新潟県のアンテナショップ「表参道・新潟館ネスパス」
です。
どうか、お時間を作ってお出かけください。
私も、表参道ヒルズ、見学に行ってきます。