職人としての生き様

昨日、時間を忘れて仕事。
気が付いたら、夜9時を回っていた。
家に着いたら、9時半。
もう、NHKの「プロフェッショナル」(いつもこのネタですみません)
は後半に差しかかっていた。
急いで、お風呂に入ったが、見れたのは後半の15分だけ。
ホント、残念だった。
見ていた方は、どう感じたのだろうか。
私は、自分自身に置き換えながら後半の15分を見てしまった。
静岡県にあるお宅の、ある一部屋を土壁に塗る仕事。
そのご自宅は、潮風が強く、土壁が乾くまでの工程が難しいと
のことだった。
最初は土壁にムラが出てやり直し。
修理ではなく、一からやり直すのだ。
この時点で、すでに親方の持ち出しになると言う。
2回目は慎重に、慎重を重ねて行う。
しかし、数日後、現場に見に行った職人さんが、髪の毛ほどの割れを
発見した。
施主さんは、これで構わないと言うのだが・・・。
でも、その左官職人さんは、やり直しを決めた。
もう3回目。
そこで、ベテランの職人さんは何日もかかって施主さんに迷惑がかかる。と
言ってもめるのだが、その主人公の職人は、「施主さんはどっちがいいのか」を
考えて欲しいと訴えた。
「割れがあっても、納期通りに終わった方が良いのか」、
「遅くなっても、満足してもらった方が良いのか」
この言葉を聞いて、今の自分の気持ちを恥じた。
こんなところで言わない方が良いと思うが、
あえて恥を忍んで、言わせていただく。
ある遠方の方(新潟から見れば遠方)から、ある方を
会して紹介していただいた、大切なお客様。
婚礼家具としてお求めいただいた高価な桐たんす。
それが完成し、お届けの段階になって、いつもお願いしている大手運送会社
さんに運んでもらうことになった。(ある程度は桐の蔵で運ぶのですが・・・)
お届けする前日、ターミナルで運送会社さんがその桐たんすを
落としてしまったのです。
夜、連絡を受けて、すぐに戻してもらうように指示したのですが・・・
結婚する際に、あつらえた特別な逸品。
婚礼家具。
謝るだけですまされる問題ではありません。
私はその時、「すぐに、修理してお届けします」と言ったのです。
(結婚式はその週で、間に合わせようと思ったのです・・)
後で、考え直して、新しい物をお作りしてお届けさせていただきます。
とお伝えしたのですが、そのお客様は、「これをいただきます」と
言ってくれたのです。
私は、このお客様の言葉に甘えてしまったのですが、この左官職人さん
だったら、お客様はどうしてほしいのか?を真っ先に考えたのではないか?
と番組を見ながら思いました。
一番良いことは、何事もなく喜ばれて納まる事なのですが、
いざ、事が起きたときに、その人間性が出てしまうものです。
職人の作り出すものは、言い換えればその職人の分身みたいなものです。
何がどうあれ、最後まで喜んで満足していただけるものづくりを目指して
いかなければならないと、ホント、思いました。
まだまだ、私は甘い。
この番組を見て、職人としての生き様を感じました。
いいお客様と出会えています。
これだけが、救いのようです。
この番組を見て、つい、私自身の中に思いを書いてみました。
追伸
今週は、東京で展示会です。
会場は、今、一番の注目スポット「表参道ヒルズ」の裏というか
隣と言うか、にある、新潟県のアンテナショップ「表参道・新潟館ネスパス」
です。
どうか、お時間を作ってお出かけください。
私も、表参道ヒルズ、見学に行ってきます。

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