「桐たんす工場で使う機械」  「自動カンナ」

今日は、桐たんす工場で使う機械について話します。

「自動カンナ」通称「自動」と私達は呼びます。自動は、桐たんす工場であれば必ず、1台や2台はある機械です。
使い方としては、荒削りするものや、きちんと板の厚みを決めるものなど、基本的には桐を削る機械です。


見るからに時代を感じさせる1台。これがホント壊れない機械です

桐の蔵にある自動は2台。1台は、主に荒削りに使い、ほとんど私はこれを毎日使います。この機械、私がもの心付いた時からすでにありました。

桑原たんす店だった時代、自宅の前が工場でしたので、自ずと遊び場が工場でした。その時に、この機械はすでにあったほど、今の工場でもこの機械が一番古いと思われます。

メーカーは「クワハラ」私と同じ名前ですが、このメーカーは今はありませんが、良い機械を作ることで有名な会社だったと言います。

あまりにも壊れなくて、機械が売れず、結局は無くなったと機械屋さんが言ってました。そうでしょう、桐の蔵で使っていても全く壊れません。


微かに残る昭和45年の文字。時代を感じさせます。 

機械の片隅には昭和45年と書かれていますから、すでに48年経っても現役なほど。こんな木工機械はそうそうないと思います。
でも、流石に精度は出ないので、主に荒削り専用です。


もう1台の新しい方の自動。見た目も現代的で、デジタル表示で助かる1台です。

もう1台の自動は、平成20年に中古で購入した自動。機械屋さんが、良い中古があるからどうですか?と話を持ってきた1台。
板の厚みがデジタル表示される1台で、これはこれは精度が出て、ホント助かる1台です。

今でこそデジタルは当たり前ですが、今思えば、以前はデジタルじゃないのによくやってたなーと思うほどです。板の厚みは、機械に付いていた、スケールで見るだけでした。

でも、基本的には桐を削る機械ですから、そんなに複雑ではなく、単純な機械です。しかし、これがないと仕事にならないほど、毎日頼っています。

今は、新品はどんな自動なのか分かりませんが、桐の蔵で使うのはこれで十分。愛着を持って、ずっと使い続けていきたいものです。

「ハーモニカの音色」


石山くんが完成させてくれた再生の桐たんす。

今日は、古い桐たんす(再生)の仕上げと最終チェック、そして梱包でした。仕上げ職人の石山君が完成させてくれた古い桐たんすのチェックをしていましたら、三割の小引き出しを出し入れしていた所、「プ~」と言うハーモニカの音色が鳴りました。


三割の小引き出しの奥に、ハーモニカが仕掛けられています。

昔の桐たんすには時々、ハーモニカが仕掛けられており、引き出しを出し入れする度に、空気の流れが起き、その空気で桐たんすの奥に仕掛けられたハーモニカが鳴る仕組みになっているのです。

それを知らない奥様が、「ん?」今、何か鳴ったよね?とチェックをしていた私のもとにやってきました。
私が、昔の桐たんすって、時々、ハーモニカが仕掛けてあるんだよ。と説明したら、「えーー、すごい!楽しい!!」って喜んでいました。

「ねぇ、今の桐たんすにもこれやれば!」と興奮して言ってきます。

「まぁ、ハーモニカが・・・」とか、「音が気になるんじゃない・・・」とか、いろいろ言い訳がましく答えてしまいましたが、お客様によっては喜んでくれるかも?とか思いながら、今度、やってみるかと思いました。


三割の小引き出しを出し入れすると、ハーモニカが鳴ります。

昔の職人さんって、結構、遊びココロありましたよね。桐たんすの所々に仕掛けられた隠し引き出しとか、隠し鍵とか、ハーモニカもそんな遊びココロから生まれたものだと思います。

引き出しを出し入れすると、ハーモニカが鳴るって、これ日本人だけの感覚ですよね。
桐たんす職人さん、バンザイです。

「桐たんすを梱包する」

今日は、「桐たんすを梱包する」について。

桐の蔵では、桐たんすを梱包するには、ダンボール屋さんに特注のダンボールを作ってもらい、それで梱包しお客様の元にお届けします。


全く分かれない桐たんすの梱包。 たんすを台の上に寝かせてダンボールで梱包します。

桐たんすは大きく分けて、本体が2つに分かれるもの、3つに分かれるもの、全く分かれなく一つのものに分類されます。
私達が作ってもらうダンボールは、全く分かれない一つ用に作ってもらい、2つや3つに分かれるものは、それをそれぞれにカットして使うようなダンボールです。

今日は親方の定期検診のため、午前中は新潟市の病院まで送迎し、午後から桐たんすの梱包でした。

今日、私が梱包した桐たんすは合計で4本。私がノロノロしているせいか、終わったのが午後4時半過ぎ。
実に3時間半もかかってしまいました。

今月中に私達がお届けする桐たんすが2本。運送会社さんにお願いする桐たんすが2本です。


ベニヤで梱包した三つ重ねの桐たんす。

私達がお届けする桐たんすは、そのまま、ダンボールで梱包すれば良いのですが、運送会社さんにお願いする桐たんすは、ダンボールだけという訳には行きません。

それは、基本的には混載でトラックに載せていくので、どんな事があるか分かりませんし、お届けしてくれる配送の方も、私達のような訳にはいきません。ですので、いかなる場合のことも考えて、少々大げさですが厳重に梱包します。


大阪に送るたんす。ダンボールの上にベニヤ板を当て、角当てを当てて梱包します。

運送会社さんにお願いする場合は、ダンボールの上にベニヤ板を当て、角には角当を当てて梱包します。
これで大抵は、大丈夫なのですが、以前、桐たんすを遠方に送った時に○通さんが、フォークリフトから桐たんすを落とした事があって、それ以来、梱包には出来る限り、細心の注意を払い梱包するように心がけています。

桐たんすは、柔らかいし、すぐに傷が付いてしまう繊細なたんすです。今、お願いしている運送会社さんは、事故等は少ないので安心ですが、それでも今だに、届くまでは心配でなりません。

桐の蔵に集荷に来る運送会社さんには必ず、私はひと声かけます。高価なので丁寧にお願いしますね、と。

桐たんすの木取り  「桐を曲げる」

今回は、「桐を曲げる」です。


胴丸の上の、曲がって付いているのが胴巻きです。

桐たんすの製作工程に於いて唯一、桐を曲げる言う工程があります。それは、胴丸という本体が4cm厚のたんすで、本体の角が丸くなっているたんすの上と下の板の部分に巻く、「胴巻き」という装飾のために付ける薄い柾板の事を言います。


胴付きノコで細かく切れ込みをいてれいきます。

これは、約3cm幅で、長さ2m20cm位の柾板を、たんす本体の左右につける位置に印をつけ、その部分に切込みを入れ曲がりやすくします。

切り込みを入れるのは、「胴付き」と呼ぶ鋸。下まで行くと全て切れてしまいますので、胴付きに抑えを付け、下まで切れないように加工してあります。


この後、水分をたっぷり含ませ、熱したアイロンを掛け、曲げていきます。

その切れ込みを約6cmの幅で切込み、そこにタオルで水分をたっぷり染み込ませ、熱したアイロンを当て、水分と熱で少しずつ曲げていきます。これを2回繰り返すと、桐が柔らかくなり曲がるのです。


曲がった胴巻き。

最近でこそありませんが、胴付きノコでの切込みが甘かったり、水分が足りなかったり、熱が足りなかったりすると、桐の曲がりが固く、無理やり曲げたりすると、胴巻きを折ってしまったことも何度かありました。


曲げる所にも、曲げた当て木を当て、ハタガネで締めます。

こうして柾板を2箇所曲げ、それを、胴丸の上と下の板にハタガネで接着していきます。この作業も、カーブしている場所を接着するために、当て木をそのカーブに合わせて丸みを取り、そこにハタガネを当てるなど、なかなか苦労します。


大、小のハタガネで締め付けて、胴巻きを貼り付けます。

写真で見ると、かなりの数のハタガネで、縦横無尽に締め付けられている感じです。そうしないと、丸みのある胴丸のたんすに、胴巻きが付かないのです。

桐たんすの製作で桐を曲げる工程は、私達の工房ではこれだけですが、これも親方から教わった技術。もう、30年ほどこれを担当しています。

桐たんすの木取り  「裏板」を作る

最近、どうも作業ブログがマンネリ化している気がする私ですが、今日は、桐たんす本体の裏側を支える板、「裏板」を作る作業でした。

裏板は、桐たんすの裏側を支える板で、見えないのですがとても大切な役割をしています。人間の背骨と一緒でたんすを支える
大黒柱と言っても過言ではありません。ですので、私は出来るだけ良い板を使います。

「見えない所だから、そんなに良い板は使わない」と考える方もいますが、私は、見えないけれど、たんすを支える大事な部分なので、良い板を使いたいと考えます。


裏板を組んでいます。木裏、木表を見て木目を揃えます。

板あぶり(ホットプレス)されて、真っ直ぐになった板を、自動カンナで削って、あいばを擦り、一度、超仕上げをかけて、板を組みます。今日は、何本かの裏板を組みましたが、その中の一本が4尺(幅1212mm)の和たんすでした。


幅4尺の引き出しの底板。幅の広いきれいな木目3枚で揃えています。

幅が4尺(1212mm)のたんすは、特に良い板を切りますし、良い木目を使いたいと思います。基本的には、幅の広い、大きな木目の板を3枚配置し、その両側に、柾目の板を少し足して、幅4尺にします。

幅4尺を3枚の板で構成するには、自ずと1枚の板の幅は40cm前後の幅の板が必要になります。幅40cmの板を取るということは、だめな部分を取り除いて40cmですから、丸太にすると50~60cmの丸太が必要になるのです。それは、かなり太い丸太なんです


幅3尺6寸(1m9cm)の裏板。 これも木目3枚で揃えています。

親方から教わった板の組み方ですが、やはり、高級品は、裏板でも引き出しの底板でも、大きな木目の板は3枚で構成されています。

よく他産地の桐たんすで、引き出しの底板などは細かな柾目だけで構成されている桐たんすを見かけますが、その地域の特徴なのでしょうが、個人的にはやはり、大きな木目3枚の底板や、裏板が見た目もいいし、高級感が漂っていると思います。


裏板を大きなハタガネで貼っています。

板を組んだら、裏板を貼るのですが、幅が広いので長いハタガネを使って板を貼ります。こうして、桐たんすの一本一本の裏板が完成します。

桐たんすをご検討する際には、見えない裏板がどんなになっているのか、見ていただくことも大切だと思います。

桐たんすの木取り 「胴丸の上板、地板を作る」

今日は、胴丸というたんすの上板の部分の「上の上」、「上の下」、地板を作ります。胴丸と言うたんすは、本体の板厚が4cmの厚みを持ったたんすで、尚且、本体が丸く加工された桐たんすの形です。


胴丸たんすの上の板とその下の板

昔からの桐たんすは、たんす本体の四方が角だったりしていましたが、最近では、たんす本体の四方(左右上、左右下)を丸く加工した四方丸が一般的な形ですが、その形とは違い、本体は4cmの厚みを持った形で丸く加工され、上と下の部分は、2枚の板を合わせて作り、蓋をかぶせたようなデザインになっています。四方丸のデザインよりも新しく、少し洋風なデザインという事で、開発された形です。

今日は、胴丸たんすの、上の部分「上の上」と「上の下」そして地板を作る作業でした。


手押しカンナであいばを擦っていきます。

まずは、4分5厘(約14mm)の板を切り、昨日のホットプレスで真っ直ぐにした板を自動カンナにかけて、粗削りをした後、手押しカンナであいばを擦ります。


板を組む作業。 木表木裏を見て、木目を揃えていきます。

その後は、1尺5寸5分(約47cm)の幅に板を組んでいきます。出来るだけよく見える板は、柾目で揃えていきます。
その後は、組んだ印に沿って、板をハタガネで接着していくのです。ここまでで半日の作業。


ハタガネで組んだ板を貼っていきます。

その後は、自動カンナをかけてきれいに削って、厚みを決めていきます。
胴丸の桐たんすは、板が厚くてどっしりとして見えるので、重量感と高級感が漂うますが、板が厚い事や、本体が丸く加工されていることなど、手がかかっているんですね。

桐たんすの木取り 「板あぶり」ホットプレス

今回は「板あぶり」

昔は(30年ほど前)までは、桐たんすを作る工程の上で、「板あぶり」と呼ぶ、作業がありました。

「板あぶり」とは、注文が入り、その注文に合わせて切った板を、直接、火に炙って板の狂いを取る作業のことなのです。

桐の板は1年間ほどの間、渋を抜くために外に干しておくのですが、その時に、板の狂いや反りなども出てくるわけです。
それを直接火に当てながら、手でねじったり、板を逆に反らせたりしながら、板の狂いを取っていたのです。

しかし、板一枚一枚を手作業で狂いを取っていく作業は、膨大な時間も手間もかかり、かなりの重労働でしたし、火を使うことで、桐たんす工場は燃えやすいカンナ葛や、木くずなどもあり、桑原たんす店時代には、何度か「ボヤ」も起こしていました。

そんな事でしたので、同業者の多くの工場は「板あぶり」から「ホットプレス」と呼ぶ、電気の熱で「プレス」して狂いを取る機械を導入し、手作業で板の狂いを取る作業から、電気の熱で狂いを取る作業へと、シフトしていったのです。


ホットプレスに掛ける前の、曲がった板

約150度に温度を上げたプレス機に、板を何十枚か乗せ、約1分間プレスで熱をかけます。それをひっくり返して両面行うと、曲がっていた板が真っ直ぐに伸びるのです。


ホットプレスにかけた後の、真っすぐになった板

桐の板が曲がっているとなぜ、だめなのか?
それは、曲がっているとカンナが掛からないし、そもそも、曲がっている板では、桐たんすが作れないからなのです。

このホットプレスの導入で、曲がった板も手作業で行うよりも格段にきれいに、まっすぐになり、何よりも、「火事」を起こす可能性が格段に少なくなりました。

この作業を重荷担当するのは奥様。
どの板を、どう置いて、最後はどう積んでいくのか、意外と頭を使う作業なのです。


ホットプレスにかけた後は、重しを乗せて、一晩置きます。

手作業が中心の桐たんすづくりですが、この「板あぶり」だけは、機械化されて本当に助かっています。

富山市まで桐たんすのお届けでした。

全国的に台風接近に伴い、警戒態勢の日です。

そんな中、今日は富山市まで桐たんすのお届けに行ってきました。お隣の県と言うことで、出発は午前7時。
しかし、台風接近に伴う雨が心配なので、予定している時間よりも早めに向かいました。

北陸高速を走り富山に向かいますが、所々、雨脚が強まるところもあり、お届けが心配されましたが、富山県に入ると雨も小雨状態で、予定時間より少し早くお客様のご自宅に到着でした。

ピカピカの新築のご自宅。
以前、配達の帰りに、階段から和たんすが上がるか下見をさせていただいておりましたので、安心してお部屋までお届けできました。

Y様、お世話になりましてありがとうございました。
奥様のご還暦という記念のお品に、弊社の和たんすをお選びいただきましてありがとうございます。本当に素敵なご自宅と、寝室にピッタリと和たんすも収まりました。ありがとうございました。

その後は、富山を後にし、2軒目のお客様の元に急ぎます。新潟方面に戻り、北陸高速を上越で降りて、お客様の元へ。
2軒目のお客様は、再生した桐たんすをお届けさせていただきました。

三つ重ねの和たんすを、下台は独立し、中台と上台を重ねて使うという、最近、この形が多い使い方です。仕上げは「との粉」で仕上げ、シンプルに仕上がりました。

雨が少し降っていましたが、無事に収まりました。W様、お世話になりましてありがとうございました。

その後は、昼食をはさみ、上越市大潟区へ。
以前に、桐たんすを修理させていただきましたお客様から、少し見てほしいとのご依頼を頂いておりましたので、寄らせていただきことに。

以前、修理させていただきました桐たんすをチェックさせて頂きました。大したこともなく、様子を見るとのことでしたのでお話させていただき、ご自宅を後にしました。

台風接近の中、3軒とも無事にお届けさせていただきました。ありがとうございました。

「内定おめでとう!」

 久しぶりの秋晴れの天気でしたが、今日はいつになくバタバタとした一日でした。

今日は桑原家の次女ゆうちゃん、19歳について。
現在、長女も通った新潟市内の製菓系の専門学校の2年生です。

昔から明るいキャラクターで、学校のクラスでは人気者だったゆうちゃん。中学3年生の体育祭では、応援団リーダーでみんなを引っ張り、最後の挨拶では、号泣していたと、奥様から聞きました。

そして今の専門学校のクラスでも、担任の先生曰く、圧倒的なキャラクターで男女共からも人気者ですと・・・。

そして先日は、6000人もの生徒が集まり開催された専門学校のグループ合同の運動会に、選手宣誓に抜擢され、「楽しかった」とケロリ。いつの間に、こんな強心臓になったのでしょうか。

大好きだというゴールデンボンバーのライブには、一人で見知らぬ土地に出かけて行き、会場で友だちを作って、友達の友達はみな友達だを地で行っている彼女。

そんなゆうちゃんに、先日、来春の就職内定通知が届きました。

昨年から、インターンシップを繰り返し、その中で希望の会社を絞り込んで、夏前に就職試験を受け、この度、合格し内定を頂きました。

ゆうちゃん、就職内定おめでとう!

また、これからお世話になります会社の皆様、ありがとうございました。どうぞ、今後共、宜しくお願いいたします。

桐たんすの木取り  「柾を組む」

今回は「柾を組む」

以前に「柾の目直し」で書かせていただきましたが、曲がっている柾板を、柾割機に通して切込みを入れ、細かく割った柾板を
ハタガネを締めて真っ直ぐに伸ばしていく作業を経て、細かい柾目だけの真っ直ぐな柾目の板が完成するのです。


ハタガネで真っ直ぐに伸ばした柾目。

その柾目の中から、特別に良いものを「観音扉用」に、そしてそれ以外のものを「引き出し用」に振り分けます。

観音開き(扉)の柾は、細かな柾目でまっすぐに伸びたものを使い、傷などはもっての他で、少しの隙間や曲がった柾目などが入っていれば除くなど、細心の注意を払って、柾目を揃えるのが、「柾を組む」なのです。


真っ直ぐに伸ばした柾目を、目を合わせながら組んでいきます。

ただし、柾を組む段階において、柾の木肌はまだ削っていませんのでグレー色で、良く柾目は見えません。そこを何とか目を凝らしながら、勘も含めて柾目を揃えていくのです。


削って白い木肌なった柾目。 ○の部分が不良の柾目のため、この部分を抜きます。

一本分の扉と引き出しの柾を組んで、接着剤で貼り終えたら、桐たんすの扉と引き出しになるのですが、そうなって初めてカンナをかけて白い木肌が見えるのです。そこで傷があったり、柾目が揃っていない場合も多々あり、そこからは、一つ一つ、傷や不良の柾目を抜いていくのです。

この作業がまた大変で、私は我慢との戦いでもあります。
そこには、「いい桐たんすを作る」という、プライドだけがこの作業を支えていると言っても過言ではありません。

「柾組」はどこの工場でも、その会社の一番偉い人(社長さんや工場長)が、昔から担っていた、一番大切な仕事です。
この仕事によって、たんすの良し悪しが決まると言っても過言ではない位の仕事です。桐の蔵でも、少し前までは親方が担っていました。

桐たんすの「顔」である、観音開きの扉と引き出しは「柾目」で出来ていますから、これが良くなければ、きれいな桐たんすとはならないのですね。

桐たんすの「顔」を作るのには、本当に多くの手間と時間がかかっているのです。