桐たんすの組み立て 東京都T様の小袖整理たんすを作る その3

昨日は、胴厚の小袖整理たんすの、立側のホゾを取り、留めを作り、棚板が入る溝を掘って、面取りカンナをかける所までをお伝えしました。

立側の面を取っています。

今日はここから、立側を立てて行きます。まずは、上台から。立側に掘った溝に、棚板、地板、上板、ツカを止めた棚板を順に入れ込んでいき、長ハタガネで止めてから、木釘を打っていきます。(今回の木釘は3寸、約9cm)


小袖たんすの上台をひっくり返して、立側に棚板、地板を入れ込んで、長いハタガネで止めています。

そして棚板を最初に木釘で止めて、上台の上下を逆さにして、次に地板を木釘で止めていきます。木釘を打ち、切ってから、再度、木釘を玄能で叩きます。こうすることで、より木釘が入り、効いてきます。


地板を木釘で打ち、ノコで切ります。


切った後、更に、玄能で叩いて、締めます。

その後、上台の上下を戻して、ホゾの部分にのりを塗り、上板を乗せていきます。弊社だけかも知れませんが、昔から、のりを塗る時に、「へらぼう」と呼ぶ、糊を塗るためだけの棒を自ら作って、のりを塗ります。(用途と場所によります)


ホゾの部分に、のりを付けて、この後、上板を乗せていきます。

そして、ホゾ組のところに木釘を打ち込んで、打ち当てを叩きながら、全体を押し込んでいきます。玄能だけで叩いていると、玄能の跡が付いたり、傷になったりするので、打ち当てと呼ぶ、板を当てながら、上板を叩いて、立側としっかりくっつくようにします。この後は、下台に入ります。


打ち当てを当てながら、叩いて、上板を入れていきます。


ホゾの部分は、木槌で叩いて、しっかり入れていきます。

今日の私は、昨日、切った7分板(約21mm)の板を組んでいきます。引出しの先板、丸盆、ヘギの先板、チェストの先板と4つの板に分けて組んでいきます。


私は、7分板を組んでいきます。


他にも、板を組み、その板を貼っていきます。

その後は、年明けに注文の入った桐たんすの上板を木取るために、ホットプレスの上に乗っている、1寸5分(約45m)の板を取って、切っていきました。さすがに、1寸5分厚となると、なかなかの重さですし、厚くて思うようには行きません。それでも、2本分の上板と地板を切りました。


1寸5分の厚い板。特別なので、ホットプレスの上に上げてあります。

明日も、全力で頑張ります。

桐たんすの組み立て 東京都T様の小袖整理たんすを作る その2

昨日は、胴厚の小袖整理たんすの、木取りを出し、長さ切りで各々の寸法で部材を切り、立側のホゾを取り、組み合うところの留めを作る所までをお伝えしました。今日は、その後の、棚板を立側(本体)に入れ込むため、棚板の下半分を毛引きで欠いて取り、その部分が立側に入り込みます。


途中までは、昇降盤と毛引きでやりますが、その後は、ノミで取ります。

その後は、立側に引き出しが入る場所と棚板の場所を計算し、立側(本体両側)の内側に「シラガキ」で印を付けていきます。この「シラガキ」も、桐たんす職人、独特の道具ではないでしょうか。


立側の内側に引出しの入る寸法を計算してシラガキで印を付けます。


引出しの入る寸法を出しています。

そして、シラガキで印を付けた立側の方に、棚板が入るための溝をカッター(普通のカッターではなく昇降盤に付いている溝を掘る刃物をカッターと呼びます)で掘ります。


カッターで棚板が入る溝を掘ります。

これも、そのままカッターで最後までかけてしまうと、とんでもないことになってしまうので、立側の前まで行かないところで止めて、後はノミを使い、手で掘っていきます。

そうしたら、棚板と立側の前面同士の交わる部分を作ります。このたんすは、総面取りと呼ぶ、全てにおいて面が取ってある作りですので、立側の前面部分に、棚板と立側がピッタリと合わさるように、のみで作っていきます。これが細かな作業で、ちょっとでも壊れると台無しになるので、とても神経を使う作業です。(私、これが苦手でした)


立側に棚板が入る部分を作ります。

その後は、面取りカンナで、立側、棚板、全ての部材の面を取っていきます。この面取カンナも、桐たんす職人の道具では、中々、独特のものではないでしょうか。


面取りカンナで、立側の面を取っていきます。

そんな中、今日の私は7分板(約21m)を切っていました。引出しの先板が少なくなってきたので、板貼りを急いで終わらせ、7分板を切ることにしました。


7分板を切ります。

今日の新潟は、朝方は曇っていて気温もさほど寒くはなかったのですが、午後からは気温も下がってきて、夕方になると、あられが降り出しました。


外を見たら、あられが降ってきました。

今週は気温が高い予報ですが、今日だけでしょうか。明日も全力でがんばります。

桐たんすの組み立て 東京都T様の小袖整理たんすを作る 

今日からは、東京からご注文をいただきましたT様の小袖胴厚の整理たんすを作っていきます。

まずは、図面と木取りを出して、それをもとに木取り(部材)を各々の寸法に切っていきます。木取りだけでも、上板、棚板
(5枚)、地板、ツカ、裏板、重ね板、足、台輪、など、結構な枚数になります。


図面と木取り。


各々の寸法に切っていきます。

その後は、全部の板をカンナ掛けします。内側になる部分は、組んでしまうとカンナが掛かりませんので、この時に全てカンナを掛けて仕上げます。


内側になる部分をカンナ掛けします。

そして上板、本体(両側)、地板のホゾを取ります。これは、機械で取りますので、時間としてはそんなに掛かりませんが、やはり慎重に行います。


ホゾを取った板。

その後は、ホゾを取り互いに組み合うところを留め(45度)にするため、胴突きでノコを入れ、ノミできれいに付くように留め型を当てながら、45度の角度を作っていきます。


留めの部分を作るため、胴突きで切り込みを入れます。


留め型を当て、きれいに45度の角度を作っていきます。

ホゾと留めの部分は、この他にも、まだまだやってるのですが写真を取れないので割愛して、次は棚板に行きます。棚板とは、引出しが乗る板のことです。本体に棚板を溝で入れ込むため、棚板の半分を毛引きで欠いています。本体に入る棚板の下側半分を取って、残った部分を立側(本体)の両側の溝に入れ込むのです。


棚板の下側半分を取るため、毛引きを入れています。

これ以上にやっていることは多いのですが、今日はここまで。明日も全力で頑張ります。

福井県まで、桐たんすのお届けでした。

12月半ば、クリスマス、一週間前の週末ですが、今日は、福井県まで桐たんすのお届けに行ってきました。
毎日のように、週間天気予報を確認し今日の天気をチェックしていましたが、今後末は、冬型の天気。昨日から雪が振り、今日は午後から天気が安定するという予報でした。

そんな中、今日の起床は午前4時半。心配なのか、深夜に何度か起きてしまう今日でしたが、起きてみれば加茂市は雪もなく至って普通の12月の天気。

弟と工場で合流し、いざ、北陸道を福井県まで向かいます。北陸道は、慣れた道。長岡市から上越市に向かい道中も、チラチラ雪が降って来ましたが、道路には雪もなく普通に走れます。

しかし、富山県との県境に入ると雪は激しく振り、富山県に入った途端、道路にも雪があり、途中、圧雪の道路もありました。その後、石川県との県境にも雪があり、福井県との県境も同様でした。そんな中、高速での事故も多く、まだ12月の半ばなのに、雪が降り、事故もある。暖冬予報ですが、降るときは降るんですよね。


富山県に入った途端、雪の量が増えました。

そして無事に、午前中に福井市のお客様のご自宅に到着でした。立派で大きなご自宅の、和室に胴丸の小袖和たんすをお届けさせていただきました。T様、本当にありがとうございました。


福井県のT様。ありがとうございます。

その後は、石川県能登町まで向かいます。金沢から、のと里山海道に入り、能登町まで向かいますが、中々、思うようにはいきません。昔は有料道路でしたが、今は、無料の高速道路と言った感じでしょうか。

金沢から約1時間かかって、能登町のT様のご自宅に到着でした。今回のお客様は、胴丸の再生たんすのご依頼でしたが、このたんす、私の修行先で作られた桐たんすで、作った伝統工芸士の職人さんも、私が知っているお世話になった職人さんでしたので、感慨深いものがありました。T様、本当にありがとうございました。


カビを取り、オイル塗装で仕上げた再生たんす。私の修行先で作られたたんすでした。

その後は、一路、新潟まで戻りますが、能登町からは氷見に出て、能越高速に乗り、北陸道という経路で帰ってきましたが、やはり能登半島は時間がかかりますね。

帰りは雪もなく、順調に帰ってくることが出来ました。来週も、全力で頑張ります。

週末です。

早いもので12月も半ば、今日あたりは、忘年会真っ盛りの週末のでしょうか。私は、今年の忘年会はまだ1回。毎年、こんな感じで年末を迎えています。

今週も、いろいろとありましたが、とにかく毎日を必死で駆け抜けてきた感じです。この頃になると、年内のお届けに向けて必死になると共に、まだやり残したことがあるんじゃないか?と言い聞かせる自分がいます。

来週はクリスマス。それが終われば年末と、ホント駆け足で一年の終わりがやってきます。今年一年の振り返りは、もう少し先にしますが、残り少ない平成30年も、全力で頑張ります。

桐たんすの木取り  板あぶり(ホットプレス)

今日は、数日来、板を切って貯めておいた、それぞれの板を、熱でプレスして、反りや狂いを直す、板あぶり(ホットプレス)を行いました。実は、2日前にも第一弾として行っているのですが、今日はその2日目。


反りや狂いが取れた板。このまま積んで、一晩寝かせます。

ホットプレスは、電気で熱を上げてプレスするので、結構な電気代がかかりますし、熱が上がるまでかなりの時間を要するので、切った板はまとめておいて、一度に(大体、2日間ですが)ホットプレスにかけます。

本当は、ちょくちょくやりたいのですが、その都度、熱が上がるまでの時間や、電気代のことを考えると、まとめて一度の行うというパターンになっています。

この担当は、いつもは奥様。私も出来るのですが、他にやらなければならない仕事もあり、奥様に頼っております。また、この仕事、どの板を、どこに置いて、どの順番で行った方が、早く終わるのかの段取りを常に考えて行わなければならないため、相当、頭を使います。


引出しの底板。かなり切ったので、タワーになっています。狂いも取れて真っ直ぐです。

「段取り8分に仕事2分」と言いますが、この仕事は、全てが段取りです。


私は、今日は板貼り。長い裏板は、慎重に貼ります。


別注の大きなたんすの木取りです。少しずつ木取りが進んでいますが、これもいずれお伝えします。

150度の熱で、片面ずつ、ひっくり返して両面行うのですが、片面約2分プレスしている間は、次の板の準備やら、終わった板をどこにどう積んでいくやらを、同時進行で、考え、行っていくので頭も使います。

ですので、ホットプレスに入ると、「どっと疲れる」と奥様は言います。私も補助的なことはやりますが、今では、奥様のほうがう上手いです。


段取り8分です。

さて、明日はホットプレスにかけて反りや狂いを取った板を、削り、組んでいく作業です。私、少々、風邪気味ですが、明日も全力で頑張ります。

桐たんすの木取り  底板とホテ板を作る

先日、完成した胴丸小袖たんすですが、その後、塗装に入り、本日、との粉を塗り金具を取り付けて、完成いたしました。
後は、後日、福井県までお届けに上がりますが、雪が降らないことを願います。


との粉仕上げで塗装して、金具を付けた和たんす。これで完成です。

さて、今日は、一日中、板を切っていました。衣装盆の底板、引出しの底板の3分板を中心に、胴丸の上板、地板の4分板、そして、チェストの立側、上板の8分板を切っていましたら、ホテ板が少ないことに気づき、急遽、板を切るのをやめて、ホテ板に入りました。


衣装盆の底板を切っています。(3分板)


胴丸の上板を切っています。(4分板)

こういうことは良くあることで、常に見てはいるのですが、少なくなっていることに気づくのが遅かったというか・・・。

なりの枚数作り、組んだ板を積み上げていったら、結構な高さになりました。明日は、切った板を熱で真っ直ぐに伸ばす、ホットプレスを奥様にやってもらう日。


組み終えたホテ板(引出しの側板)結構、積みました。

私も全力で頑張ります。

桐たんすの組み立て 福井県T様の和たんすを作る その7

先週は、胴丸小袖たんすの引出し周り、衣装盆、小引き出し、引出しを組み立て、底板を打つ所までをお伝えしました。


先週は、底板を打つ所までをお伝えしました。

今日は、その続きです。引出しは底板を打ったら、次は底板、先板、ホテ板の順に仕上げカンナを掛けていきます。ホテ板は、引出しがスムーズに入るように削りながらも、入れては抜き、入れては抜きをしながら、きつくもなく、ガホ(ガホガホ)でもなく、丁度いい具合に入るように、細心の注意を払いながら、何度も出して入れを繰り返して、引出しを入れていきます。


引出しを出し入れしながら、入れていきます。

そして引き出しが入ったら、「こま」と呼ぶ、引出しを入れた際に、裏板に直接当たらないようにする、桐の小さなあてがいを入れてやるのです。それも、きちんと引出しの前面と総面取りの面を取った所とが、ピッタリと合うように「こま」の厚みを計算して引出しの奥に「こま」を付けるのです。


引出しの奥に「こま」をあてがいます。

その後は、観音開きの扉に移ります。扉は、予め入る場所のサイズを図り、それよりも少し余裕を持って、長さ、幅を切ります。そこからは、手かんなで、隙間がないくらいにピッタリと、克つ、スムーズに開け締め出来るように、観音開きの扉を仕込みます。

引き出しも観音開きの扉もそうですが、「はがき一枚の厚さ」が入らないくらいを目安に仕込むのです。そうすると、引出しを一つ入れると、もう一つの引出しが出てくるような、気密性の高い、引出しになるのです。

観音開きの仕込みが終われば、最終的に仕上げカンナで仕上げて観音開きは終わります。


手カンナで観音開きの扉を仕上げます。

衣装盆(丸盆)は、底板を打ち、ハタガネでまとめたら、外側の丸も手カンナで仕上げて、それと同時に、丸盆のカガミ(前)と先(後ろ)ホテ、両側の板を手カンナで仕上げます。

それが終われば、丸盆の上面をルーターで丸く面を取ります。その後、全て水を拭き、桐を増やさせてから、仕上げにペーパーと呼ぶ「紙やすり」を手で掛けて、丸盆の全ての上面を、きれいに丸くしていきます。


丸盆の丸面をペーパーで仕上げます。

そこまで来れば、木地が完成間近。観音開きの扉に召し合せ(扉が合わさるところに定規を召し合せと呼びます)を取り付け、その糊が乾けば木地が完成です。その後は、塗と金具付けの作業のため、塗装職人、石山君に渡します。


木地が完成しました。この後、塗りの工程に入ります。

新潟市までお届けでした。

今日、明日は工場はお休みですが、今日は新潟市まで再生たんすのお届けに行ってきました。

今朝、工場へ行く道中、対向車が雪を屋根に積んで走ってくるのです。まだ、この辺りは雪は降っておらず、ん?どこから来たんだろう?と思っていましたが、朝、奥様から電話で、「長女が新潟市内が雪が積もってるから、スノーブラシ(車の雪を落とすブラシ)持ってきて!との電話が来たとのこと。

えーーー!でした。

昨年、5月にお引取りをさせて頂いた桐たんすですが、ご自宅をご新築のため、今日までお預かりさせていただき、ご新築なので何かあったら困ると思い、奥様にも手伝っていただき、2人でお届けに行ってきました。

新潟市に近づくにつれ、道路脇には雪が積り、その量は段々と増えていきます。ホント、新潟市は結構な積雪でした。
でも、そんな中、無事にご新築の素敵なご自宅に、再生たんす2本と小たんすをお届けさせていただきました。T様、お世話になりましてありがとうございました。


茶色のオイルで仕上げた再生した桐たんす。


焦げ茶色のオイルで仕上げた小たんす。白い壁と合って渋いです。

帰りには、長女のパン屋さんに顔を出し、スノーブラシを渡して帰路につきました。今晩も新潟は雪の予報。明日、起きると白くなっているかも知れません。

桐たんすの組み立て 福井県T様の和たんすを作る その6

昨日は、胴丸小袖たんすの、引出しを仕込み、衣装盆(丸盆)をチューブで固定したところまでをお伝えしましたが、今日は、その先の引出しを組んでいき、丸盆もその先の作業を行っていきます。


丸盆をチューブで固定しました。

まずは、仕込んだ引出しの先板とホテ板の組み立を作ります。昇降盤でホゾ組を取るための切り込みを入れます。そして、カガミ板は、蟻組を取ります。(現在は、蟻組は機械で取ります)


先板、ホテ板は、ホゾ組で、カガミ板は蟻組です。

その後は、引出しを組んでいきます。カガミ板、ホテ板、先板に接着剤を付け、蟻組、ホゾ組のところに入れ込んでいきます。このときは、手で軽く叩き、その後は、打ち当てと呼ぶ、当て木を当てて、その上から叩いていきます。
打ち当てを当てないで、玄能のまま叩くと、傷になりますし、均等に蟻組、ホゾ組に入っていきません。


引出しを組んでいきます。


打ち当てでしっかりと入れていきます。

その後は、引出しの底板を木釘で打っていきます。底板を打つ木釘は、1寸5分(約45mm)でドリルで穴を開けながら、木釘を入れて玄能で叩いていきます。


底板を木釘で打っていきます。

衣装盆(丸盆)は、内側の丸を付けて、その糊が乾くまでは、ストーブの近くにおいて糊が乾くのを待ちます。その後は、衣装盆(丸盆)の底板を木釘で打っていきます。


丸盆の糊をストーブの近くにおいて乾かします。

衣装盆(丸盆)は、底板を木釘で打ったら、全てまとめてハタガネで締めて、一緒にカンナを掛けて仕上げます。こうすると、衣装盆の仕上がりのバラツキもなく、同じ大きさで仕上がるのです。


丸盆は、ハタガネで固定して、一度に仕上げます。

こうして、引出し、観音開きの中の小引き出し、衣装盆の組み立て、底板を打ち終えました。この後は、衣装盆(丸盆)を仕上げ、引出しはスムーズに出し入れできるように仕上げでいく工程ですが、今日はここまで。

明日、明後日は工場はお休み。就業前にはきちんと掃除をして、一週間の仕事を終えます。一週間、お疲れ様でした。来週も全力で頑張ります。


終業時間間近、職人鈴木の向こうで、掃除をする奥様。一週間、お疲れ様でした。