1.会社での出来事

桐たんすの組み立て 別注のチェストを作る その2

昨日は、今までにない形の別注のチェストのご注文を頂いた事。それの図面と、本体のホゾ組、ツカが入る溝を彫るなど、組み立てる前の段階までお伝えしましたが、今日は、いよいよ側を立てます。

「側を立てる」とは、本体を組み立てていく事を言います。大工さんで言えば、建前みたいなもので、いよいよ、ここからが、たんす職人の見せ所と行った感じです。まずは、地板の溝を彫ったところに、ツカを入れドリルで穴を開け、木釘を打ち込みます。その後は、両方の立側(側板)をホゾ組で入れ込み、接着剤と木釘で固めていきます。


ホゾを組み、溝にツカを入れ、側を立てて行きます。


ドリルで穴を開けます。


木釘を打ち込み、裏板を止めていきます。

そして、かしがり(四方が直角かどうか)を見て、かしがっていたら直していきます。その後、裏板を接着剤と木釘で打って止めていきます。そこで接着剤がはみ出たりしているところは、きれいにブラシで拭くことも忘れてはいけません。


地板を仕上げていきます。


前面(表)の仕上げは慎重に。


裏板も、丁寧に仕上げます。

立側(本体)を組み立て、裏板を打ったら一段落ですが、ここから鉋を使って仕上げていきます。前面、側面(側板)、裏板と全てきれいにカンナで仕上げます。

このチェストは、幅が1m50cmもあるので、立てて脚立に乗って仕上げます。なかなか大変な作業です。


足を四方回して、お昼休みです。

仕上げたら、足(足と呼ぶ、3cmほどの巾木を四方回します)を四方回して一段落です。その後は、引出し周りに行くのですが今日はここまで。

やっと週末。明日は、工場で残った仕事があり、出社ですが、日曜日は久しぶりにお休みをいただきます。数週間ぶりのお休みです。ゆっくり休んで、週明け、また全力で頑張ります。

桐たんすの組み立て  別注のチェストを作る

今日は、朝から桐たんすの本体である「立側」と呼ぶ板を自動(自動カンナ)に掛ける事から始まり、立側を組むところまでを午前中一杯で終わらせました。


奥様が貼った、ヘギ底

奥様は、今日は下三の裏板を貼り、その後はヘギ底をずっと貼ってもらいました。お蔭で、足りなかった木取り(部材)も少しずつですが補充されてきました。

私の仕事も、先が見えてきましたし、木取りも全てではありませんが、揃ってきましたので精神的に楽になってきました。
そんな気持ちだったので、周りを見る余裕も出てきたのでしょうか、弟の鈴木(伝統工芸士です)が作っている別注のチェストが目に入りました。


幅1m50cm 高さ30cmのc別注のチェストの上板と地板


ツカの入る所を溝を彫っています。


その後、3分ノミで先の方をしっかりと取っていきます。


ツカの入る部分を少し削って、入りやすくします。


上板と側板はホゾ組です。

このチェストをご注文いただきましたお客様は、電話でのご注文だったのですが、最初は、チェストの上に「寝転びたい」とのお話でした。何度か話を進めていく内に、座布団を置いて座りたい、そして下に引き出しを付けてとのご要望でした。


これが図面。これに従って作ります。

何度か図面のやり取りをして、ご注文をいただき、只今、製作中です。今までにあまりないチェストですので、興味津々です。
この続きもまたお伝えできればと思います。

明日も、全力で頑張ります。

桐たんすの木取り   地板と裏板を作る。


親方に板を組んでもらいました。

今日は、昨日の内にチェストのホテ板、ヘギのホテ板、丸盆のホテ板を作って置いたものを、親方に組んで欲しいとお願いし、工場に来てもらいました。(私だけでは回らなくなってきました)

そして奥様は、昨日に引き続き、大量の引出しの底板を貼る作業に没頭していますが、私は、次から次へと足りない木取り(部材)を作らなければならないので、今日は朝から、地板を作ります。


4分板の地板を組みます。

地板は桐の蔵では4分板を使います。先日、ホットプレスにかけ、狂いや反りを取った4分板を、自動(自動カンナ)にかけ、荒削りしたあと、あいば擦って板を組みます。4分板は、地板、胴丸の上板など、いくつかの部材を組んでいきました。枚数にして全部で40枚ほど4分板を組んだでしょうか。


下三の裏板。これは大きなハタガネで貼ります。

その後は、下三と呼ぶ、和たんすの裏板を作ります。下三とは、和たんすの基本の形で、本体は2つに分かれる形で、上台の部分は観音開き、下台は、引出しが3段の和たんすです。下台の引出しが3段あるので下三と呼びます。その上台、下台の裏板を作りました。


傷のある板。


傷を抜いた板。

今までと同じように、ホットプレスで狂いや反りを取った3分板(裏板は3分板です)を自動(自動カンナ)にかけ、荒削りし、あいばを擦って板を組むのですが、この段階で、傷がある板もあります。傷は、丁寧に抜いて、その部分を接着すると分からなくなります。


貼るのを待つ大量の板。 奥様も必死です。

ここまで来た段階で、やっと少し、先が見えて来るような気がしてきました。その反面、貼るのを待つ板が大量に出来て、担当の奥様は必死です。

明日は私は立側(桐たんすの本体の側板)を作ります。明日も、全力で頑張ります。

桐たんすの木取り  底板を貼る、鏡板を作る


まずは底板になる板を、一枚一枚を貼っていきます。

今日も底板を貼ります。引出しの底板は、幅が広いため、2回に分けて板を貼ります。まずは、一枚一枚を貼り、それを削って仕上げた板を、最終的に3枚合わせて大きなハタガネで一枚に貼ります。


大きなハタガネで、3枚の板を貼って、一枚の底板が出来ます。

今日は2回目の大きなハタガネで、3枚の板を貼っていく工程。それを担当するのは奥様。もう、何も言わなくても、完璧に貼ってくれます。今日は、ずっと底板を貼ってくれていました。


完成した引出しの底板。

その間、私はというと引出しの鏡板を作っていました。これも多分、加茂独特の言い方だっと思うのですが、引出しの前板を加茂では「鏡板」と呼ぶのです。私の修行の地、和歌山県では、「前板」と呼んでいました。

何で鏡板なのか?、インターネットで調べましたが、いろいろ有ったのですが、一番近いのが、「壁、天井などに張る、平らで滑らかな一枚板」とありました。多分、引出しの前板は、「平らな一枚板」ということなのでしょうか。それとも、一番大切な部分(鏡)という意味合いなのでしょうか。

今日作った鏡板は全部で、30枚。三割の小引き出し用が9枚でしたので、結構な数。午前中は、ずっと鏡板づくりでした。


引出しの鏡板を作っています。

午後からは、一回目に奥様が貼った底板をまた自動(カンナ)に掛ける作業。そして、午前中に作った鏡板に、表柾と裏柾を貼る作業を行っていました。

奥様は、明日も引出しの底板を貼り、私は、観音開きの扉を作ります。明日も、全力で頑張ります。

桐たんすの木取り   引出しの底板とヘギ底

今日は、先週末から続いている引出しの底板づくりからスタートです。引出しは、横に長いので二回に分けて、板を貼っていくのですが、まずは、一回目に奥様が貼ってくれた板を三枚セットで順番も狂わないように、自動(自動カンナ)に通して削っていきます。


超仕上げを掛けた引出しの底板。3枚を貼るように印をつけます。

その後は、超仕上げという(自動カンナ)よりも、仕上げが手鉋に近い仕上がりになる機械に通して、引出しの底板を仕上げます。(最終的には手鉋を掛けて仕上げます)

その後は、もう一度、傷があるかどうかを確認して、あいばを擦るのですが、ここでも神経を尖らせて、木裏、木表の傷の有無を確認します。そうして大きな木目が三枚揃った一枚の底板を、大きなハタガネで貼っていくのですが、それは明日の奥様の仕事。


ヘギ底を自動にカンナに通します。

私は、そこまでやって、すぐに衣装盆(ヘギ)の底板づくりに入ります。
これもかなりの枚数のヘギ底を自動(自動カンナ)にかけ、あいばを擦って、ヘギ底と衣装箱用の底板を組みます。


ヘギ底を組んでいきます。

今日は午後からは出かける用事もあり、結局、ヘギ底組み始めたのは午後三時過ぎ。それでも、慎重に手際よく組み始め、何とか終業の午後5時までにヘギ底71枚と、衣装箱の底板7枚を組み終えました。


組み終えたヘギ底。

今週いっぱいが木取りの山。何とか今週で木取りを終えて、次の段階に行きたいです。
明日も全力で頑張ります。

愛知県まで、桐たんすのお届けでした。

11月4日(日)、大安吉日の良き日に、今日は愛知県田原市まで桐たんすのお届けに行ってきました。

起床は久々の午前4時。緊張のためか、夜中に1時間おきに起きてしまい、幾分寝不足でしたが、工場で弟と5時に待ち合わせ、一路、愛知県まで北陸道、上信越道、中央道、東名とひた走ります。

東名豊川ICで降りて、そこから約30分下道を走ると、田原市に入ります。事前に、近くの道の駅に着いたら電話して下さいとの事でしたので、電話をし、数分待って、お迎えに来ていただきました。

その後は、新築のご自宅に到着し、お届けをさせていただいたのですが、新築のご自宅の素敵さ。素晴らしいご自宅でした。
W様のセンスなのでしょう、お庭の作りといい、アプローチ、そして玄関からお部屋の中も全てセンスあふれる素敵さでした。


お部屋に収めさせていただきました、和たんす「春」

そんなご自宅の一室に、弊社の最高級和たんす「春」をお納めさせてただ来ました。たんすの金具は、桐の蔵オリジナルの「ため色漆金具」をお選びいただきました。


桐の蔵オリジナルのため色漆金具です。

帰りには、お土産もたくさんいただき、帰路につきました。往復10時間とちょっとの道のりでしたが、今日も良い一日でした。
W様、本当にありがとうございます。

今週は土曜が仕事、今日がお届けで、お休みがありませんでしたが充実している証。
明日からも全力で頑張ります。

桐たんすの木取り  底板を作る。

11月に入りました。昨日と同様、今日も足りなくなった木取り(部材)との戦いでした。が、午前中は、長岡市まで桐たんすのお届けに行ってきました。

予定では、午前11時頃には帰れる予定でしたが、押せ押せのお届けで、帰ってきたらちょうど正午。人生、何があるか本当に分かりませんね。


奥様が貼ってくれた引出しの底板。 ホント、仕事が早くて感謝です。

正午に帰ってきて、昼食を挟み、午後からの段取りを考えます。奥様が午前中に貼ってくれた底板を削って、底板を作らなければならないのですが、その他にも、今日、やらなければならないことが次から次へと降ってきます。

急遽、立側を作らなければ間に合わないことに。ホント、マーフィーの法則の如く、無くなるのは一斉です。
その後は、立側を作って終業を迎えようと思ったのですが、なかなか思うようには行かず、明日に回すことに。


山形県酒田市から依頼された修理の桐たんす。 緊張と責任とプライドで修理します。

そうしたら、仕上げ職人の石山君が、数日かけて仕上げた、再生たんすが出来上がっていましたので、その調整をすることに。
このたんす、山形県酒田市から修理を依頼されたたんすで、弊社に届いた時から雰囲気が違っていました。

どう見ても、酒田船箪笥の面影を残しているたんすでした。その修理・再生を承っていましたので、相当な責任と、何とかしてきれいにしてお戻ししたいとの職人のプライドで、この仕事を請け負いました。完成したたんすを見て、これで良かったと思いました。修理する職人さんと、仕上げる職人さんの思いが一致しました。


こんなたんすは中々、お目にかかれません。きれいに完成して、本当に良かったです。

本当に、桐たんすはどんなに古くなっても、その当時の思い出と、その方の思いを現代に繋いでくれる素晴らしい日本の文化だと思っています。

古い桐たんすの再生事業を立ち上げて良かったと、本当に感じています。明日は工場はお休みですが、私は仕事です。
休日こそ、全力で頑張ります。

桐たんすの木取り  底板と木はずみと。


貼り付けを貼った棚板。 奥様は仕事が早いです。

ここ数日、足りなくなった板(部材)を作るのに、必死です。今日は、昨日奥様に貼って頂いた棚板を、さらに奥様から貼り付けを貼ってもらい、私はその間に、残った引出しの底板を削る作業へ。


引出しの底板を組んでいます。 木表、木裏を確かめ大きな木目三枚で組みます。

今日の段取りで、何とか午前10時から引出しの底板を組んで、一枚でも多く今日の内に組んでおきたいと、必死かつ慎重に底板を組み、約半分組んだところで、午前中が終わりました。


お昼休みに自動の刃物を交換します。

午後からはやる事が目白押しのため、お昼休みに自動(自動カンナ)の刃物を交換し、午後からの仕事に備えます。

午後からは、奥様に貼り付けを貼っていただいた棚板の厚みを最終的に決めるため、刃物を変えたばかりでテロテロの自動(自動カンナ)を掛けます。これで、やっと棚板が完成し、ホット一息付く間もなく、束の間の晴れ間を縫って、親方と共に地元の製材所へ。


1本1本、慎重に丸太を見ていきます。

先日仕入れてきた桐丸太が製材所に並べてあり、木はずみをするために親方と製材所へやってきました。木はずみとは、丸太1本1本をじっくり見て、何分に製材するか、曲がっていたらどこから切るかを決める作業です。
今回は、3分板と4分板、そして7分板を取ることに。全部で28本ですので、本当はもう少し欲しいところですが・・・。


やっとで80数枚の引出しの底板を組み終わりました。重ねて積み上げると2本のタワーになります。

時間にして約30分の木はずみを終え、急いで工場へ戻り、やりかけの引出しの底板を組む仕事を再開です。
午後4時半過ぎに、引出しの底板83枚と、三割用の底板20枚を組み終わりました。ここで、やっと今日の最低限の段取りを終えることが出来ました。

その後は、引出しの芯を作っていたら、弟が「今作っているたんすの棚板をもう一枚作って!」とのことで、急遽、板を切って作ることに。

そんなこんなで、バタバタと就業時間の5時を迎えました。今日は全力でやりきった!前の日からイメージしていた時間どおりの段取りでした。

これも奥様や親方、職人の皆さんのおかげです。ホント、ありがとうございます。
明日も、全力で頑張ります。

修理の桐たんすをお持ちいただきました。

昨日、材料がないことに気づいたので、今日は朝から棚板を奥様に貼っってもらい、私は小引き出し周りの細かな板を削って作り始めました。

午前中一杯はそれに費やし、午後から底板に行こうと段取りをしていた所、先日、桐たんすの修理のお問い合わせをいただいた
お客様から、再びお電話をいただき、「午後から桐たんすを持って行くので見てもらえませんか」とのお話でした。


若いご夫婦がお持ちいただいた桐たんす。

午後から新潟市からお出かけいただ来ました、まだお若いご夫婦の方が、車の乗せた2段引出しの古い桐たんすを
「これなんですが、見てもらえませんか」と話し始めました。

何でも奥様の家にあった古い桐たんすだそうで、「古い味も活かしながらきれいにしたい」とのご希望でした。状態もそんなに悪くなかったので、お値段を伝え、修理させていただくことになりました。
Y様、ありがとうございます。

年に何組かは、こうして工場まで桐たんすの修理のご依頼や、ショールームにお出かけいただきます。本当にありがたいことです。


大量の引出しの底板を削ります。

その後は、引出しの底板を削り、何とか就業時間を迎えました。明日は、引出しの底板を組むところまで行けるか。
明日も全力で頑張ります。

材料がなくなる時は、一斉です。

今日は、昨日に引き続き、奥様はホットプレスで板に熱を掛け、板の反りや狂いを取る仕事。私は、昨日、貼った柾板を削って、傷があったらそれを抜き、再び、貼ってきれいな柾板に仕上げる仕事でした。


柾板にあった傷。これを抜きます。


傷を抜いた柾板。 これを接着します。

貼った柾板を削り、傷を抜いて再び貼り直す作業は、とても時間がかかります。今日、傷を抜いた柾板は約30枚ほど。
一枚一枚細かくチェックし、小さな傷でも見逃さず抜きます。
そして接着剤で貼り直すのですが、傷を見極める神経と、貼り直す細かな作業で、目も腰も痛くなります。

そして午後3時過ぎに、やっとこの仕事が終わったのも束の間、職人さんの引出し周りの材料を出したら、材料が少なくなっていることに気づきます。


材料が少ない棚。 明日から作らねば。

先日も、引出しの先板とホテ板(側板)が無くなって、急遽、休日にやったのですが、今度は、棚板、ヘギホテ、ヘギ先板が少ないではありませんか。

言い訳ですが、先週は、ずっと3分板ばかり切っていたので、この板が少ないのに気が付きませんでした。材料がなくなるのってなぜか、一斉です。これもマーフィーの法則かも知れません。

一息つく間もなく、明日は、少なくなった板を作ります。明日も、全力です。