1.会社での出来事

桐たんすの木取り   底板を作る


今朝の工場。雪が積りました。

天気予報では今日は大雪の予報。昨日の夜から、チラチラと雪が降り始め、今朝起きたら、少しだけ積っていました。
自宅から工場に来ると、自宅周辺よりは雪が多い。でも、午前中は降ったり止んだりを繰り返していましたが、午後からは落ち着き、積っていた雪も溶けてしまいました。

今日の私は、引き出しの底板と、特注たんすの底板を作りました。年末に奥様がホットプレスを掛けてくれていた底板を、自動カンナに掛けて、荒削りしていく所から始まります。その後は、手押し(手押しかんな)を掛けて、アイバを擦っていくのですが、その最中に、弟が、「二階の水道が出ない!」と言ってきました。


底板を台車に乗せて始めます。


桐の蔵で一番古い自動カンナに、底板を入れていきます。


自動カンナで荒削りしていきます。

水道メーターを確認し、問題なし。その後、一階の水道を確認しましたが、その時点ではチョロチョロと出ていましたが、その後は、全く出ず。

我が社だけなのか、断水なのか?役場に電話したら、「すみません、断水しています」との事。工場のある田上町は、地元の水道ではなく、遠く、三条市から水道を引いているとのこと。その途中で、水道管が破裂したとの事でした。
幸い、工場の前に給水車が来ており、バケツを持って人生初めての、水を貰いに行ってきました。


この後、水が止まりました。

トイレ、手洗い、かんな砥ぎ、食器洗い、全てにおいて水がないと仕事になりません。何度かバケツを持って水を貰いに行ったりで、今日は仕事が進みませんでした。

何と、復旧の予定は明日の午前7時の予定とか。今日の雪なんて大した事なかったのに、なんで破裂したんだろうか。

明日は、ポリタンク持って工場に行きます。明日も、全力で頑張ります。

桐たんすの木取り  柾を切る

今日は、年始の挨拶にと言うことで、親方が工場にやってきました。工場の階段を登り、二階で作業をする職人さんに挨拶に行っていました。今年で83歳、まだまだ元気です。


事務所で休憩中にお茶を飲む親方。

今日の私は、「柾」を切りました。柾板は、約6mm程の厚みの板ですが、柾目の部分が多く取れる桐丸太を、製材所で柾挽きにして(それが厚さ約6mm)、それを職人さんの手で一枚一枚干していくのです。


柾板を切ります。

約1年間干して、渋を抜き乾燥させた柾板を倉庫から取ってきて、注文のある桐たんすの図面を見ながら、柾板をそのサイズに切っていくのです。

柾板はいろいろな場所に使います。観音開きの扉の表と裏。引き出しの表と裏。引違い戸の表と裏。そして、古くて修理を依頼された桐たんすにも使います。今日は、そんな修理を依頼された桐たんすに使う柾を切っていました。
その他に、昨日の続きの4分板を組み、奥様が貼った板を削ったりの仕事でした。


奥様が貼った板は、私が削ります。

実は、今年から新たな事を始めているのですが、それを担当している弟と、進行中に、いろいろと話し合うのですが、それがとてもワクワクします。こんな感じになるのは、ホント、久しぶりで、この仕事をやっていて良かったなぁと感じる瞬間でした。

この新たな取り組みは、今現在、まだ言えないのですが、この分野、私はホント好きで、今後の新たな柱になると思っています。休憩中にも、弟、奥様、私の3人で、話し合ったのですが、奥様も好きな分野みたいです。

まだまだ完成まで時間が掛かりますが、作り手がワクワクする事って大切ですよね。
明日も、全力で頑張ります。

仕事始め

12月28日からお休みに入った、桐の蔵のお正月休みは10連休。毎日のように工場に来ていた私ですが、さすがに10連休は体がナマってしまいました。

今日、仕事をしていても何だか体が付いていかない感じ。休日は、ほどほどに。やはり現場での仕事が一番です。


板も貼ります。

今日は、4分板(地板)の板組と、板貼り。そして、観音開きの扉を作っていました。徐々にナマッた体も回復し、全開モードに。明日も、全力で頑張ります。


4分板(地板)を組みます。

それにしても今年は、雪が積りません。今日の午後は、日が差していましたから。

雪のない工場。明後日は雪の予報ですが・・・。

明けましておめでとうございます。

明けましておめでとうございます。昨年中は、お世話になりましてありがとうございました。

年末に帰省した長男、長女も、それぞれの住処に戻り、いつもの次女、次男との4人家族に戻りました。今年は、あと数ヶ月すると、次女ゆうちゃんも就職で新潟を離れますので、段々と、家族が少なくなり、寂しくなってきます。

今年も毎年のことながら、元旦には嫁さんと弥彦神社に初詣に行き、午後からは工場に神主さんにお越しいただき、お祓いをしていただき、一年のスタートを切りました。

今年も新たなことに挑戦しながら、壁を乗り越えて行きたいと思います。今年も、宜しくお願い致します。

今年一年、ありがとうございました。

天気予報通り、新潟は午前中から雪が降り始め、あっという間に、積もりました。
早いもので、桐の蔵は今日が仕事納め。毎年のことながら、掃除を終え、誰もいなくなった事務所で一人、この一年を振り返っています。


午前中から雪が降り始めました。

今年は、大雪、酷暑、台風、水害、地震と日本全国で災害が相次ぎました。
また、被害に遭われました皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

今年を振り返りますと、大雪の2月に新潟県の朝日新聞さんから取材いただき、桐の蔵の再生たんすの仕事を新聞に紹介いただきました。また、今月は、雑誌「美しいキモノ」で取材いただき、紙面にて桐の蔵の桐たんすをご紹介いただきました。

そして今年の大きな出来事は、4月に大阪の大切なお客様へ桐たんすをお届けした帰り、朝から具合が悪かったのですが、我慢の限界を越え、道中の滋賀医大病院に緊急入院、
急性虫垂炎で、緊急手術を体験しました。

人生初の手術は、今となっては私の生活を少し変えました。そして翌月は、長男の入院と、心配をおかけした2ヶ月間でした。

また今年も桐たんすのお届けに、鳥取、岡山、広島、山形、富山、石川など日本各地にお届けさせていただき、お客様とのご縁を深めさせていただきました。

今年も各地で行いました桐の蔵の展示会を初め、ホームページでご縁をいただきました、多くのお客様、まだ顔を合わせたことのないご注文を頂いたお客様など、桐の蔵をご支持いただいた多くのお客様のお陰もあり、この一年、無事に過ごすことができました。この場をお借りし、お礼を言わせていただきます。「ありがとうございました」

2019年桐の蔵は、「感謝と喜んでいただけるものづくり」を目指して、進んで参ります。来る年、2019年が皆様にとって良き年でありますよう、心からお祈り致します。

桐の蔵   桑原 隆

桐たんすの組み立て 東京都T様の小袖整理たんすを作る その7

昨日は、小袖たんすの引き出し6個と小引き出し3個の枠を固めていきましたが、今日は、引き出しの底板を木釘で打っていきます。

引き出しを固めています。

まずは、引き出しの底板を打つ方の枠を、木殺し(底板を打つ方の面の先板、ホテ板を玄能で押しながら、のりが着きやすいようにします)し、底板を乗せ、ドリルで穴を開け、木釘を打っていきます。底板を打つ木釘は2寸(約6mm)


底板を木釘で打っていきます。


木釘の間隔は均一に、深さは、どれも同じ深さで打っていきます。

引き出しの底板を打ったら、次は底板をカンナで仕上げていきます。引き出しをひっくり返して、カンナを掛けていくのですが、引き出しは中が空間で空いていまので、そのままではカンナは掛かりません。そこで、引き出しの中に台などの支えになるものを入れて、カンナを掛けていきます。


底板の仕上げは、引き出しをひっくり返して、仕上げていきます。

その後は、先板、ホテ板の順にカンナで仕上げていきます。ホテ板を仕上げていく時は、仕上げながら引き出しの入り具合も一緒に見ていきます。カンナを掛けつつ、引き出しを入れてあたっている場所を確認しながら、また、抜いて削る、それを何度も繰り返して、引き出しを入れていきます。


ホテ板を仕上げながら、引き出しを入れていきます。


削っては入れ、削っては入れして、どこが当たっているのか確認しながら引き出しを入れていきます。


引き出しを出す時は、金具が付いていないので、大きな吸盤で引っ張って出します。

そうすることで、引き出しを入れると、他の引き出しがすーーっと出てくる密閉度の高い引き出しの仕込みになります。

引き出しが全て入ったら、引き出しの奥に「こま」を入れます。「こま」とは、引き出しを入れた時に、直接、裏板に当たらないように、クッションとしての役割の「こま」と呼ぶ、当たりを裏板に付けておくのです。そうする事で、引き出しを入れた時に、引き出しが裏板に当たらず、裏板のダメージも少なくなるのです。


引き出しの奥、裏板に「こま」と呼ぶ、当てを付けます。

そこまで行くと、完成間近。その後は、引き出しの前面を最後にカンナで仕上げて完成です。今回は、引き出しばかりの小袖整理たんすですので、普通のたんすよりも早いですが、それでもお伝えした以外にも多くの手数と、時間がかかっています。


これで木地が完成です。この後は、との粉を塗ってロウを引き、金具を付けて完成です。

今日の私は、衣装盆の底板(ヘギ底)を組んでいました。年末に来て、木取りが少なくなってきましたので、組む板や貼る板が多いですが、桐の蔵は、明日が仕事納め。


ヘギ底を組んでいます。


組み終えて、貼る待ちの板が増えてきました。

まだ、出荷前のたんすや衣装箱もあり、今日も、バタバタとした一日でした。明日は今年最後のお仕事。全力で頑張ります。

桐たんすの組み立て 東京都T様の小袖整理たんすを作る その6

先週は、小袖たんすの立側が完成し、これから引き出し周りに入る所までをお伝えしました。今日からは、引き出し周りに入っていきます。

長さ切りで、引き出し周りの材料を各々の長さに切り、その後、手カンナにてカンナ掛けをしていきます。カンナ掛けが終わったら、まずは引き出しを仕込んでいきます。「仕込む」とは、引き出しのかがみ板を、引き出しが入るところに当てながら、ピッタリと入るように削っていきながら、かがみ板を合わせていきます。


寸法に切った後は、カンナを掛けて仕上げていきます。


かがみ板を引き出しが入る場所に当てながら、仕込んでいきます。

これも削っては見て、削っては見てを繰り返し、かがみ板を合わせていくのです。


当てては削り、当てては削りしながら、合わせていきます。

その後は、引き出しのかがみ板とホテ板のあり組を機械で取って、引き出しを組んでいきます。蟻組みとホテ板はのりを入れて、組み手でしっかりと組んでいき、先板とホテ板は、ほぞ組と木釘で組んでいきます。


かがみ板とホテ板は蟻組で、のりで接着し、打ち当てで叩きながら入れ込んでいきます。


かがみ板と先板は、ほぞ組と木釘で固めます。

その後は、組んだ引き出しがきちんと直角になっているかを、直角定規で一つ一つ見て、いきます。


引き出しの枠を固めた後は、定規を当て、直角になっているか確かめます。

こうして、引き出し6個と小引き出し3個の引き出しの枠を固めていきます。その後は、引き出しの底板を打っていきます。

今日の私は、別注の桐たんすの底板を組んで、その後は、新潟市まで再生小たんすのお届けに行ってきました。今日の新潟は時折、日差しは差すものの、風は冷たく、いつもの冬の新潟でした。


今日は、別注の桐たんすの底板を組みました。


新潟市までお届けした、再生小たんすです。

明日も、全力で頑張ります。

桐たんすの組み立て 東京都T様の小袖整理たんすを作る その5

昨日は、上台、下台の立側を立て、裏板を打って、上下の重なる部分の重なりを完成させる所までをお伝えしました。

重なりを合わせるために削っています。

今日は、その続きで、まずは裏板を仕上げます。その後は、上板、立側と仕上げていきます。まずは、立側を重ねた状態で、長いハタガネで固定し、それを寝かせて立側の側板を仕上げます。重ねた時に、重なりの部分がずれないように、上下ぴったりとしていることが当たり前なので、このようにして仕上げます。

裏板を仕上げました。


上台と下台を重ねてハタガネで固定し、寝せて仕上げます。


こうして仕上げることで、少しのズレもなく、ピタッと合う立側になります。

その後は、この状態で寝せて、前面も同じように、ピッタリずれないように仕上げていきます。

今回のたんすは、「四方丸」という作りで、上下の左右が丸くなっている作りです。外側は、手カンナで丸くしていきますが、内側は、内側の丸を作るために、外側の丸を切った材料を内側に貼ります。


内側に外側の丸を切った材料を貼ります。

その後、小刀で、外側の丸に合わせて、内側の丸を手で作っていきます。その後は、立側に関するところを全て仕上げて、初めて、立側が立ちました。(完成)


小刀で、少しずつ外側に合った丸を作っていきます。


外側と内側が同じ径の丸です。この丸、手作業で作っていきます。これが職人技です。


立側が完成しました。

立側が完成したら、次は、引き出し周りに入ります。引き出しの木取り(材料)を出して、長さ切で、各部材を、各々のサイズに切っていきます。


次は、引き出し周りです。木取りを出してもらいます。


長さ切りで、材料を各々の寸法に切っていきます。

今日の私は、昨日に引き続き、「柾組み」でした。今回は、大きなたんすや、観音開きの長いたんすがあり、奥様の柾直し待っての柾組でした。


今日も柾組です。

また、今日は、久しぶりの陽気で、思わずストーブを消したほど。この季節、新潟は鉛色の空ばかりですが、今日は儲けもの。また、明日からは雨の予報ですし、連休は雪になるとか。


今日は久しぶりに気持ちのいい、晴れ間でした。

皆様、メリークリスマス!

桐たんすの組み立て 東京都T様の小袖整理たんすを作る その4

昨日は、上台の立側を立てた所までをお伝えしました。今日は、その後の下台の立側を立てて、裏板を打っていきます。

下台の立側  棚板の入る溝が掘ってあります。

まずは、立側の裏側に棚板が入る溝を掘り、そこに棚板を入れ込んでいき、木釘で止めていきます。(木釘は3寸です)
その後、重ね板と地板を入れて、長ハタガネでしっかりと固定し、木釘を打って止めます。


立側に棚板を入れ、木釘を打って止めます。


立側に地板、棚板 重ね板を組んで、長ハタガネで止めます。

その後は、棚板に風穴と呼ぶ、空気の通る穴を開け(引出しの乗る棚板には、引出しの通りを良くするために、奥に空気の通る)穴を開けます。そして、棚板が棚板が真っ直ぐになるように「つっかえ棒」を入れてまっすぐにし、裏板を打つ準備にかかります。


側を組んだら、棚板の奥に「風穴」を開けます。

ここで上台、下台の立側が立ちました。この後は裏板を打っていきます。まずは上台から、裏板に棚板の位置の印をつけ、そこを線で結んで、棚板の木釘を打つ場所を確認します。


上台ののりを乾かすため、ストーブに近づけます。

それから木釘を打ち(木釘は1寸5分)裏板をしっかりと止めます。その後は、ノコで切り、切った後は叩いて締めて、刷毛で水を拭いて少しばかり時間をおきます。


裏板に木釘を打って止めます。

その後は、下台の下に足(台輪が乗る部分)を付けます。足は8分で四方が回してあります。それをのりで地板に付けて、シャコ万(クランプ)とハタガネで固定します。


足を取り付けます。


足はシャコ万とハタガネで取り付けます。

そして足も、裏板も、のりが乾いたら、重ね口(上台と下台)の重なる場所を仕上げながら、重なりを見て、ズレがないように少しずつ削っていき、重なりを完成させます。


重なる部分を削って、重なりを合わせます。

今日の私は、柾を切り、柾を組んでいました。年明け、2月頃お届け予定の桐たんすですが、お正月休みもあるので、出来れば、お休み前に木取りと、柾は出来しておきたいと、今、必死です。やはり、お正月は少しゆっくりしたいです。


柾組です。

明日も、全力で頑張ります。

桐たんすの組み立て 東京都T様の小袖整理たんすを作る その3

昨日は、胴厚の小袖整理たんすの、立側のホゾを取り、留めを作り、棚板が入る溝を掘って、面取りカンナをかける所までをお伝えしました。

立側の面を取っています。

今日はここから、立側を立てて行きます。まずは、上台から。立側に掘った溝に、棚板、地板、上板、ツカを止めた棚板を順に入れ込んでいき、長ハタガネで止めてから、木釘を打っていきます。(今回の木釘は3寸、約9cm)


小袖たんすの上台をひっくり返して、立側に棚板、地板を入れ込んで、長いハタガネで止めています。

そして棚板を最初に木釘で止めて、上台の上下を逆さにして、次に地板を木釘で止めていきます。木釘を打ち、切ってから、再度、木釘を玄能で叩きます。こうすることで、より木釘が入り、効いてきます。


地板を木釘で打ち、ノコで切ります。


切った後、更に、玄能で叩いて、締めます。

その後、上台の上下を戻して、ホゾの部分にのりを塗り、上板を乗せていきます。弊社だけかも知れませんが、昔から、のりを塗る時に、「へらぼう」と呼ぶ、糊を塗るためだけの棒を自ら作って、のりを塗ります。(用途と場所によります)


ホゾの部分に、のりを付けて、この後、上板を乗せていきます。

そして、ホゾ組のところに木釘を打ち込んで、打ち当てを叩きながら、全体を押し込んでいきます。玄能だけで叩いていると、玄能の跡が付いたり、傷になったりするので、打ち当てと呼ぶ、板を当てながら、上板を叩いて、立側としっかりくっつくようにします。この後は、下台に入ります。


打ち当てを当てながら、叩いて、上板を入れていきます。


ホゾの部分は、木槌で叩いて、しっかり入れていきます。

今日の私は、昨日、切った7分板(約21mm)の板を組んでいきます。引出しの先板、丸盆、ヘギの先板、チェストの先板と4つの板に分けて組んでいきます。


私は、7分板を組んでいきます。


他にも、板を組み、その板を貼っていきます。

その後は、年明けに注文の入った桐たんすの上板を木取るために、ホットプレスの上に乗っている、1寸5分(約45m)の板を取って、切っていきました。さすがに、1寸5分厚となると、なかなかの重さですし、厚くて思うようには行きません。それでも、2本分の上板と地板を切りました。


1寸5分の厚い板。特別なので、ホットプレスの上に上げてあります。

明日も、全力で頑張ります。