2019年 4月 の投稿一覧

桐たんすの組み立て 大阪府K様の洋服たんすを作る3

昨日は洋服たんすの上台と下台の立側を固め、付属する小引き出しを固めた所までをお伝えしましたが、今日はその続きです。

下台の裏板を打つ準備をするために、引き出しの入るところの重ね板と地板に突っ張りを入れて、板が反っていない状態で裏板を打っていきます。

下台の裏板を打つ準備で、つっかえ棒を入れています。

上台は裏板止めの上から裏板を木釘で打っていきます。上台、下台共に裏板を打ったら、手カンナで仕上げていくのですが、その際には、重なりや、地板の台輪が付くところなどは、平になっているかを定規で確認しながらカンナで削って仕上げていきます。

上台の裏板を打ちました。


下台の裏板も打ち終え、台輪が付く地板の部分を平らに削っています。

今回の洋服たんすは四方丸なので、地板の下両角と、上台の上両角をカンナで丸くしていきます。

下台の四方丸の部分。カンナで丸く削っていきます。

そして下台の上に上台が乗る重の部分は、しっかりと隙間がないように平らに重ならなければならないので、ここは定規を当てながら慎重に削っていきます。(削るカンナは長台といい、カンナの台が長いカンナを使います)

長台(台が長いカンナ)で重なる部分をきっちりと重なるように削っていきます。

そして外側の丸を作るのと同時に、内側の丸も作っていきます。今回写真にはないですが、この間、立側を寝せながら、幅の広い立側をカンナで仕上げ、上板、地板もカンナで仕上げていきます。どこをとっても洋服たんすは奥行き、高さ共に大きいので、結構大変です。

四方丸の内側の部分を作ります。

ここで立側が完成しましたが、次に立側が乗っかる「台輪」を作っていきます。

本体が乗る「台輪」を作ります。

今日の私は、午前中は再生たんすに使用する「柾」を切り、胴丸の洋服たんすの上板や地板を作っていました。そうしたら津南町でいつも桐丸太を仕入れさせていただいている方が、いつものように引き出しのホテ板を持ってきてくれました。
全部で44束にまとめられたホテ板は、きれいな柾目で美しいホテ板でした。先日の柾丸太といい、今回のホテ板といい、桐たんす屋さんは、春が仕入れのシーズンです。このホテ板ももう少し立つと屋根に干します。

今日持って来て頂いた津南町産のホテ板(引き出しの側板)これから1年間屋根に干します。

明日も全力で頑張ります。

桐たんすの組み立て 大阪府K様の洋服たんすを作る2

先回は、洋服たんすの上下左右の4箇所のホゾを毛引きとノミで取り、地板の入る部分を作り、本体の内側外側の面を面取カンナで取って行くところまでをお伝えしましたが、今日はその続きです。

ホゾを取り、面を取ったら立側を立てる準備に入ります。立側の2箇所に裏板止めをつける部分を作り、ホゾにのりを付けて立側を組み立てていきます。

立側のホゾにのりを塗り、組んでいく準備をします。


上板のホゾに、立側のホゾを組んでいきます。

まずは上板に立側のホゾをはめていきます。そして玄能で叩きながら、上板と立側を組んでいきます。

台に乗り、上板と立側のホゾを組んで固めていきます。

今回の洋服たんすは、引き出しが一段付いた「下一」と呼ぶ洋服たんすですので、その分、上台はロングコートが掛かるくらいの大きさで、奥行きもハンガーが掛かるように広く取ってあります。なので、立側を固めるのはちょっと大変です。

上板、立側をホゾで組んだら、次に地板をはめていきます。そして裏板止めを2箇所付けていきます。裏板止めは、洋服たんすの上台の本体は、中に仕切りなどがなく、本体を支える板がないため、強度を保つために裏板の部分に補強のための板を2箇所入れます。それを「裏板止め」と言います。

裏板を打つ前に、裏板止めを付けます。

次に引き出し1段の部分の立側を固めていきます。

引き出し一段の部分の立側を固めます。

上台と下台の立側ののりが乾く間は、洋服たんすに付属する小引き出しを作っていきます。引き出し2段の小引き出しですが、その立側を固めていきます。

付属の小引き出しを作っていきます。

今日の私は、引き出しのホテ板を作っていました。1年間、屋根に置いて干した板を取り込んで約1年置いた板です。
それを台車に積んで、片方を手押しカンナでならして、自動カンナに通して厚みを決め、また手押しカンナであいばを擦って、組むところまでを行いました。

今日は引き出しのホテ板を作りました。

明日も全力で頑張ります。

「職人・横山松雄」表彰されました。

昨日から再び冬型の天気に戻りかけている新潟は、今朝、起きてみれば屋根が白くなっていました。そんな中、以前から今日は上越市まで再生する桐たんすのお引取りに伺う日なのですが、どうも道路状況が怪しいのです。

朝、検索したら上越方面は途中から雪道用のタイヤ規制が出ている状況。出発前にもう一度検索したら、規制は解除されていたので「行くか!」との事で一路、北陸高速を上越市まで。

今日の北陸道。雪がみるみる積もっていきます。

しかし、長岡を過ぎると状況は一変します。横殴りの雪がみるみる積もってきます。間違いなく今日は4月2日。一体どうなっているのでしょうか。そしてハイエースのタイヤはノーマルタイヤ。これではいつ滑ってもおかしくありません。

慎重に慎重を重ねての運転で上越に到着し、桐たんすをお引取りさせていただき、再び、雪道を運転し時間は大幅にかかって工場に到着しました。

2本の再生する桐たんすをお引取りさせていただきました。

午後からは、昨日作り始めた洋服たんすの立側の貼り付けの部分を作り、午前中に奥様が貼ってくれた板を削って仕上げたりで、充実した時間を過ごしました。

最近、桐の洋服たんすの注文が多く、大きな材料がたくさんいります。

そして午後3時の休憩の時、組合の事務局の方が「横山さんの賞状を待ってきました」と、工場まで訪ねてきてくださいました。実は、今年の始めに「加茂桐たんすに貢献した職人」さんとして横山さんが、推薦を受けたのです。
そしてその表彰式が先日あったのですが、本人は都合が悪く欠席させていただき、その時の賞状と景品を持ってきて下さいました。

工場の休憩室でパチリ。職人さんみんなが喜んでいました。

今年で60歳の横山さん。加茂市長からの表彰に嬉しそうでした。これからも元気で頑張って下さい。

私も全力で頑張ります。

桐たんすの組み立て 大阪府K様の洋服たんすを作る

週末は名古屋での展示会でした。金曜日の午前中いっぱい工場で仕事をし、午後から名古屋に向けてトラックを走らせましたが、名古屋に近かづくに連れ、桜が咲き何とも言えない華やかな気分になります。
(写真も撮らずすみません)

そして土曜日の早朝に搬入・準備をし即、展示会を開催しました。全国的なのか、2日間ともに寒い名古屋でしたが、お越しいただきましたお客様、本当にありがとうございました。展示会を終え名古屋を出発したら、名古屋市でもあられが降り、帰りの上信越道の妙高付近も雪。今年は雪が少なかった割には、いつまでも冬が続いています。

さて先回は、大阪からご注文いただきましたK様の和たんすの制作をお伝えしてきましたが、ほぼ完成を迎え、今日からは同じくK様の洋服たんすの制作をお伝えしていきます。(K様からは和たんすと洋服たんすの2本セットのご注文でした)

K様の和たんすがほぼ完成し、次は洋服たんすを作っていきます。

まずは洋服たんすの木取りを出してもらい、長さ切りでそれぞれの部材を切り分けます。その後は手カンナでそれぞれの部材を仕上げ、そしてホゾを取ります。

洋服たんすの場合は、奥行きが和たんすよりも深いので、機械でホゾを取ることが出来ないため、手(毛引きとノミ)でほぞを取っていきます。

洋服たんすのホゾを毛引きとノミで作っていきます。

昔は、こうして全て毛引きとノミでホゾを取っていたのですが、今は機械があるので、機械でホゾを取っていますが、手作業でホゾを取る作業は、洋服たんすのような奥行きがあるたんすでは、ホゾの枚数が多いため結構大変な作業になります。

上台の左右と下台の左右の計4箇所のホゾを取っていきます。

ホゾを取る場所は、上下左右の4箇所です。ホゾを取ったら、地板の入る部分を作り、本体の内側外側の面を面取カンナで取っていきます。

ホゾを取ったら、立側の内側と外側の面を取っていきます。


面は面取りカンナで取っていきます。

今日の私は、展示会で居なかった分の遅れを取り戻すべく、和たんすの観音開き、立側、カガミの芯などを作っていました。

さすがに次から次へとやることが出てきますが、やることがなくなったら終わりですから、これはこれで大事なことです。
明日も全力で頑張ります。