今回は、「桐たんすの調子を見る」
調子を見るとは、「完成した桐たんすの出荷前の最後の点検」という意味で、私は、修行時代から使っている言葉。
実は、桐たんすは最後の工程の「塗装」、「金具付け」が終わっても、その状態ではすぐにはお客様の元へは届けられません。(私だけかも知れませんが)
私は、完成して少し時間をおいてから調子を見るようにしています。それはなぜか?
少し時間を置くことで、桐が少し動くのです。動くとは、気候や湿気によって引き出しが増えたり、板が少しだけ張ったりするので、それを含んで、ちょっと時間を置いてから桐たんすの調子を見るのです。
最後の調子を見るのは私。これだけは他人に譲れないと言うか、自分自身がやらないと気が収まらないというのが正直な感想かも知れません。
「調子を見る」事は、桐たんす全体を見て、傷などはないか、引き出しの出し入れはスムーズか、扉の状態は、金具の位置は、
などなど、お客様のご自宅にお届けして、すぐに使えるように、それを想定してあらゆるところをチェックします。
今日は、熊本県にお届けする、胴丸の洋服たんすと整理たんすの調子を見ましたが、洋服たんすは、奥行きが深く、扉も大きいので作る方も大変ですが、調子を見る方も、細心の神経を使います。
今回は熊本県のお客様で遠方のため、お届けは業者さんにお任せしますが、細心の注意で調子を見ます。
お使いいただけるお客様の顔を思い浮かべながら、長い間、お使いいただけるように
職人一同、桐たんすづくりに励みます。