雨。 肌寒いです。
新潟では、所々、稲刈りも始まり味覚の秋が始まってきました。
そんな中、先日、桐たんすの修理をご依頼いただきましたお客様から桐たんすが届きました。運送会社さんが梱包をほどき、倉庫に置いてくれた桐たんすをひと目見たときにピン!と来ました。
観音開きの中は、びっしりとカビが生えており、桐たんす全体もカビだらけです。
もしかして、この桐たんす、私の修行先で作っていた桐たんすでは・・・。
そんな感じがしたので、桐たんすの扉を開けて中を見てみると、やはりそうでした。
幅4尺の1寸5分厚の立派な胴丸の和たんすでした。
そこには紀州桐たんすの名前が入った「伝統的工芸品シール」と、製作者の名前が。「中田静夫」製作と。私が修行していた31年前に、当時、現役バリバリで働いていた「なかたはん」と呼ばれていた、その職人さんの名前が。
思わず、当時のことがフラッシュバックしてきました。
もう、この会社はなくなってありませんから、いいと思いますが、「和歌山富士木工」という会社で、高校卒業後の2年間、修行させていただきました。
当時、和歌山県の桐たんす工場では一番大きな会社で、職人さんも全員で20人はいたと思います。私が行った頃は、まだ紀州桐たんすは伝統工芸に指定されれいなく、当時の社長が紀州桐箪笥組合の理事長をされており、伝統工芸品指定に向けて頑張っていたことが思い出されます。
この桐たんすの修理を依頼して来られたお客様は石川県のお客様。私も、修行時代、トラックにたんすを積んで福井県、石川県、富山県と取引き先にたんすを配達して来ましたので、石川県ならばこの家具店でお求めになったんだな、と分かります。
まだご存命なのだろうか、「なたかはん」あの頃は、辛かったけど楽しかったなぁ。
久しぶりに修行時代の頃を思い出し、懐かしくなりました。