技術家庭の時間。

 
      晴れ。    晴れ間は今日までかも・・・。

先週末の新潟県上越市での展示会中に、ある方の
訪問を受けた。

その方は、地元の中学校の「技術家庭」の先生。
男子(男性)なら、この言葉に懐かしさが込み上げてくるのではないか?

「技術家庭」
確かに、中学生の授業にあった。
金工や、木工などを道具を使って作った思い出があるし、
意外と楽しかった記憶もある。

その先生が、桐の蔵の展示会に「お願い」があって訪ねてきたのだった。
そのお願いとは、中学3年生の技術家庭の授業で、今まで、ずっと
小さな桐箱を作って来たという。

で、その子供たちにプロの職人さんが作った桐箱を見せて、
違いなど、本物の職人さんの技術を感じてもらいたい。という。
子供たちが作る桐箱のキットがあるので、それを職人さんから
作ってもらいたいというのだ。

まあ、そんな事ならいいですよ!と展示会場で、
小さな桐箱のキットを2セットもらい、週明けに工場で説明し、
職人・横山松雄に作ってもらうことに・・・。

でも、このキットがなかなか、大変だった。
当然ながら、中国桐。
サイズもカットされていて、どこに使う板なのかも分かる。
あとは、木工用ボンドを使って、パタパタと組んでいけばいいだけのこと
なのだが・・・・。

先生のお願いは、「プロの職人さんが作ったもの」と言うことだ。
だから、中学生が納得するようなレベルで作らなければならない。

作り始めて分かった。
このキット、誰が作ってもある程度は作れるように、部材が甘く切ってある。
だから、この通り作ると、ガタガタの桐箱になってしまうのだ。

これでは、完成したらプロの職人どころか、中学生と同じになってしまう。
で、そこは職人、いろいろな工夫をこらし、作り上げた。
こんな小さな箱に、結構な時間はかかったが・・・。

でも、この桐箱。
中学生が作るのは、結構、難しいと思った。
最後に、引き出しの取手を私が付けたのだが、この取手、一つ
付けること自体にも、結構、時間がかかったし・・・。

何でも、この桐箱のキット、中学校の教材屋さんから仕入れるようなのですが、
プロから言わせれば、もっと、作りやすいように出来るだろ?・・・だ。

でも、今回お会いした、技術家庭の先生のお話は、ちょっと残念だった。
今の、中学校の技術家庭の授業って、3年生で、一週間に1時間ないそうだ。

思わず、「えーーーーーーーーーーだ。」
だから、先生自体の仕事も減っていて、技術家庭の先生なのに
授業が少ないから、プリント作ったり、総務みたいな仕事が
多くなっているそう。

今は、どこも普通科志向が強くて、工業や、商業、農業などの
専門学科の高校も減っているというから。

私のような、もの作りで生計を立てているものから見たら、
ホント、残念でしょうがない。
私らの中学生の頃は、まだ、技術家庭の時間は、週に2時間くらいは
あったと思うのに。

日本の教育の現状を見たようだった。
こんなことしてたら、ものづくり大国がだめになってしまうかな。
あの、岡野工業の岡野さんだったどういうのだろう。

技術家庭。
楽しかったのにな〜。

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