緑のじゅうたんを抜けて・・・。

週末は、埼玉県所沢市での展示会。
金曜日の夕方に所沢に到着。
トラックを降りて、えっ!、、、すごい!湿気。そして暑い。
新潟は、梅雨だけれど梅雨寒って感じの日が続いていた。
それが、一山超えたら、ホント、梅雨って感じの天気だった。
でも、そんな天気に反して初日から、多くのご縁をいただいた。
前にもお求めいただいたO様。
そして日本橋の展示会にもお出かけいただいたH様。
そして小物の収納をお探しだった、S様。
最後は、来春結婚を控えているO様と、本当に、多くのご縁を
頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。
で、今回の展示会。
あまりにも許しがたいお客様がいた。(こんな言葉ですみません)
二日目の午前中にご夫婦でお越しいただいたお客様だった。
来店するなり、片手で乱暴に引出しを引き、「これは一枚板か?」
と言わんばかりに、チェストの上板を叩く。
見るに見かねた弟が、「引出しは両手で引いていただけませんか」と、
さりげなく言うが・・・。
今度はそのご主人が、チェストの上に肘をつき、チェストの上に
書いてあった説明を読み始めた。
「そのチェストは65万円」
そのご夫婦はもう50歳を過ぎたであろう、ご夫婦。
当然ながら、常識もある方だと思う。
でも、さすがに次から次へと繰り返される、展示品への
乱暴な扱いに私は言った。
「申し訳ありません、展示品に肘をつくのは止めていただけませんか」と。
それを聞き、奥様の言葉はこうだった。
「そんなに、桐たんすって、神経を使わないといけないの・・・」
そうではないだろう。(と私は思った・・)
あまりにも、無神経な態度と、職人を馬鹿にした言葉だった。
いかに展示品といえども、手作りで時間を掛けて作った作品に
肘を付き、乱暴に扱う。
それが許せなくて、そういう扱いをさると、とても不快だと伝えた。
生意気な言い方で、申し訳ないが、そんなお客様には
高価な桐たんすを使う資格なんてない。(ホント生意気で申し訳ない)
乱暴に扱われる桐たんすが可哀想だ。
今までにも展示会にお出かけいただいたお客様にもホント、
いろいろな方がいたが、作り手として、職人として今回は耐えがたかった。
この場で書いて良いのか、迷ったが、職人としての私の
真剣な気持ちを素直に言いたかったので、あえて批判を覚悟で
書くことにした。
桐たんすは、ちょっとしたことでも傷が付いてしまう、敏感なものだ。
いつも神経を尖らせて使ってなんて言わないが、やさしい
気持ちで使ってもらいたい、のは正直な気持ちだ。
展示会で「この引出しすごい!入れると出てくるよ!!」と言って
バタバタ引出しを開け閉めするお客様にはもう慣れたが、本当は、
作り手としては、「・・・」という「気持ちだ。
一言、「引いてもいいですか?」と言われると、ほっとする。
その言葉はあってもいい。(と思う・・・)
展示品と言えども、その桐たんすが出来上がるまでに、どれほどの
手が掛かり、その作品を職人がどんな気持ちで作っているのかを、
分かって欲しい。
人が作り出すものには、数々の職人の気持ちが入っているのだ。

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