結婚と桐たんす、そして両親の思い。

以前から、桐の蔵のお出かけいただいているお客様、H様が、
桐の蔵のショールームにご家族でお越しになられた。
御嬢様の結婚に際して、桐たんすを持たせてあげたいという
ご両親。
そして、大阪で暮らし、出来れば今風のおしゃれな家具を使いたいとい
御嬢様の思い。
両方の思いを尊重しつつ、提案しなければならない。
担当としての難しい思いでした・・・
今までに、数え切れないくらいのお客様とお話させていただき、
いろいろなご家族の状況を見させていただいているので、
両方の思いは痛いほど分かる。
そんな大切な時に、私たちの桐たんすを選んでいただけたこと、
そして、桐たんすでご協力できることは、とても光栄であるし、
何を置いても、ありがたい。
御嬢様は、そんなに高価なものは必要ない。と・・・、
でも、ご両親は、この機会ってニ度とないから、お金なんて気にしないで。
という。
結局は、使う立場の御嬢様のご意見を優先しつつ、桐チェストシリーズに
決まった。でも、その後、心なしかお父様の雰囲気が暗くなった。
お父様は、ホントは伝統的な桐たんすを1本でも持っていってもらいたいと
以前から、なんども言っていたのだ。
その変化に気づき、私は御嬢様に提案する。
お父さんの思いも叶えてあげれませんか。(そんな言い方ではなかったと思うが)
結局は、お父様の強い思い(桐の洋服たんす)をチェスト風のデザインで、
特注することになった。
これでお父様のご機嫌も直り、全てが上手くいった。
一生に一度の、結婚。
そして、その際に用意する身の回りの品々。
H様は、何度も工房のショールムに足を運んで頂いていたので、
ご両親のお気持ちは痛いほど私には、伝わっていた。
桐たんすって、モノの良さもさることながら、持たせてあげる
ご両親の思い我一番大切だと思う。
御嬢様には、今日のこの時を忘れないで欲しい。
こんなにも、思いを込めていることを。
私たちも、この時は、ほんと、いい仕事だと思う瞬間だ。
H様、ありがとうございました。

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