初代が取り持つ縁。

昨年の春頃だっと思う。
このブログ(まだ、HPの日記だっかな?)で
書いた、初代の作った桐たんすの修理を依頼されたと。
そのお客様とは、その後も、桐で民芸風のたんすの依頼を
頂いたり、今年の1月の新潟市内で行われた展示会にお出かけ
いただき、ご自身用の桐たんすのご注文を頂いた。
その桐たんすが完成したので、今日、お届けに上がった。
そのお客様のご自宅に伺わせて頂くのは、もう4回目くらいかな。
それも、きっかけは、初代の「桑原松太郎」さんが作った
桐たんすを直して欲しいという、一本の電話からだった。
ホント、ご縁というのはありがたいものだ。
桐たんすに墨で書いてあった、「桑原松太郎」の文字を
頼って、色々なところに電話をして、桐の蔵を探してくれたのだ。
これって、ホント、ありがたいの一言に尽きる。
それが、ご縁で、何度もご自宅にお邪魔させていただき、
桐たんすご依頼をいただいたのです。
昨日書いた、年間計画ではないですが、こんなことは
計画できないのは当然で、予測も出来ない。
でも、なぜか、毎年、多くの方々のご縁を頂き、
計画通り、事が進んでいく。
ありがたいことに・・・・・。
昨年もそうだった。
で、今年も、昨年以上に、多くのご縁を頂いている。
ホント、不思議なようだが
言葉にして、計画すると、それが現実になってくるかな?
ホント、出会いは新鮮ですね。

100年後の仕事と、10年後の会社。

「桐たんすは代々、使っていけます」
これは、桐たんすに関わる全ての方が使う言葉だ。
確かに、その通りであるし、製作する職人さん達も、
そのつもりで、心を込めて手作りしている。
代々と言うと100年以上は使えなくてはならない。
だから、つくる方も、相当な神経を使う。
だって、代が変わっても、作品は残るから、その方達からも
評価されなくては一流品とはいえない。(と私は思う)
実は、今、10年後の桐の蔵の計画を作っている。
「10年後、桐の蔵はこうなっている」、と捉えて
さかのぼりつつ、計画を立てている。
その通りになるとは思っていないが、それに近づきたい
と努力することが、今の私には必要だと思うから・・・。
毎年、年間計画を立てて、それに近づくようには努力する。
それと一緒で、10年後の桐の蔵もこうなりたいと思うのは
自然のことだ。
10年後って、遠いようであっという間だ。(と思う・・・)
いつも言うが、私たちの仕事は、人の手によって作り出されるものだ。
だから、人が大事だ。
作り出す技術を持った職人さんが、この先、どれだけ残っているか。
10年後はどうなのか?を考えるとぞっとする。
だから、その辺も考えての10年計画だ。
10年後、私は48歳。
弟は43歳。
そして、将来はサッカー選手か、たんす屋。と、
言っていた息子は、21歳。
この辺が、ポイントだと思う。
たかが10年後。
されど、10年後だ。
でも会社は、存続しなければ意味がない。
だから、10年後を見据えて行こうと思う。
100年後も使える桐たんすと、
10年後も元気な桐の蔵であるために・・・。

整理整頓と、職人の質。

職人に限らず、仕事の出来る人の場所は、きちんと整理整頓が
されている場合が多い。
今日、職人の小池さんが、ほぞ組みの工程を終え、その
作業で出た、木くずを丁寧にほうきで掃き、自信の仕事場を
きれいにしてから、次の作業に入っていった。
その場所は、作業をする前よりも確実にきれいになっていた。
これこそが、できる職人である(と私は思う)
私たちの仕事は、手作りである。
自分の持ち場の、作業場が汚ければ、作り出す作品が
きれいに出来るはずがない。
その上、効率は悪いに違いない。
段取りは、もっと悪くなると思う。
そして、何よりも、気分が悪い・・・
桐たんす職人の仕事は、手作業が多いので、出る木屑などは、
知れている量だ。
でも、工程の節目、節目には、必ず木屑を掃いて、きれいにしてから
次の作業に入るのが、できる職人だと私は思う。
桐の灰汁を抜くために外に干してある、桐の板もそうだ。
やはり、見た目にもきれいに、そろえて干してある方が、気持ちがいいし、
効率よく、雨に当たり、灰汁が抜け、乾燥の度合いも平均にいくと思う。
プロの仕事って、見ていても美しいものだ。
これは、桐たんす職人だけでない。
ケーキ職人でも、パン職人でも、いい店はきれいだし
美味しい。
きれいって、大事なことだと、私は思う。
きれいな仕事をする職人って、気の使い方が違う。
いろいろなことに、気が付くし、気の付き方は作業の工程の
はるか先を行っている。
これが、本当のプロだ。
当たり前のように言われるが、整理整頓はプロの基本。
ベテランになれば、なるほど、当たり前をきちんとこなしている。

正確に、早く、そして楽に。

小雪。 もう車のタイヤ替えたのに。勘弁してよ・・・。
「正確に、早く」は、手作りが主な工場の職人としては、
常に、意識していること。
今日、私が板を張っていたら、職人、横山松雄が来て、
「ハタガネ」この位置だと楽だな・・・。とぼそっと言った。
ハタガネとは、板と板を合わせるときに使う鉄で出来た道具。
これが数まとまるとけっこう重い。
いつもは床に置いて、そこから持ち上げて取って使うのだが、
私は、それだと時間もかかり疲れるので、腰くらいの台上に
乗せて、そこからハタガネを取って使っていたのだ。
「正確に早く」は、どの業界でも、誰でも言う。
でも、そこに、「楽に」が加わる。
「正確に、早く、辛かったら」その作業は長続きしない。
いかに、負担が掛からず、楽に作業が続けられるかが、
いい職人といえるだろう。
一見、たいした事ないような事が、作業の流れのなかでは、
大きく関わってくることが多い。
今使った道具を、どこに置くか。
今あった場所に置くのと、違う場所に置くのとでは、
次の作業に入る時に、道具を探す時間が、違ってくる。
そんな、些細な事なのだが、優秀な職人は、そこにこだわる。
出来る職人は、作業の流れがあり、リズムがある。
一つ一つの、作業は、全て計算されているのだ。
この作業は、この道具をどこに置き、その次の作業のために、
こうしたほうが良い。と、まるで、プロ将棋士のように、
何手も先まで読んで、段取りを計算しているのだ。
その中で、こうしたほうが「早く、正確に、楽に」出来ることが
あれば、すぐにそれを真似する素直さも兼ね備えている。
それが、プロの職人である。
職歴30年以上を数える職人さんでも、常に、勉強なのだ。
「正確に、早く、そして楽に」
これができれば、本当に職人である。

ご縁って・・・・。

昨日までの新潟県上越市での展示会を終えて、
つくづく思った。
人と人のご縁って、ホント不思議だし、ありがたい。
もう少しで、ご縁が出来そうだったお客様。でも、結局、
ご縁はなかった。
そして最後に、ご縁を頂いたお客様。
ホント、ありがたかった。
ご縁を頂いたお客様と、ご縁がなかったお客様。
この差って、何なのだろうか。
「ツキ」って、とらえてもいいのかもしれないが
そんなに軽いものではない・・・と思う。
結局、この差って日常の行いかもしれない。
スポーツに置き換えれば、日々の努力か・・・。
この世界には勝利の女神は、必ず存在する。
絶対的に、有利に試合を支配していても、
何度も、得点のチャンスを逃してしまう。
これって、勝利の女神から突き放されているのかも。
ビジネスの世界でも同じような気が・・・。
努力は、必ず報われるが、運やツキも必ず存在する。
それを味方につけるには、日々の行いしかないような、
気がする。
う〜〜〜〜ん。
前向きに、がんばろう。
また明日から。

姉から妹への贈りもの・・・。

今日から、新潟県の上越市(新潟県の下のほう)で展示会を
行っています。
いつもは、県外での展示会なのでビジネスホテルにお泊りですが、
県内なので、帰ってくることが出来ます。
今朝一番のお客様は、その街から少し行ったところにある街の
お客様でした。
お話を伺い、そのお客様にとってどれが一番必要なものなのかを、
私なりに判断して、提案をさせていただきました。
お話を聞いてみると、そのお客様は、長女。
でも、お嫁に行ってしまったのです。
で、実家に残った妹にプレゼントするために、桐たんすを
お求めいただいたのでした。
う〜ん。
なんだか、お話を聞いていて感動でした。
I様。
本当に、妹思いでありながら、きちんと姉としての
気遣いを感じました。
本当に、ありがとうございました。
今日、朝、展示会場に向かう車の中で流れてきたFMラジオ。
その話は、野球のWBC(ワールドベースボールクラシック)
そこで、優勝に導いた「イチロー」の貢献度の話でした。
そのバックに流れていた曲が「栄光の掛け橋」?だったかな。ゆず?・・・
この曲が泣けました。
朝から、もう感動でした。
I様。
ホント、素晴らしいお姉さんです。
「届けるまで、妹には黙っていてくださいね・・・」と
一言を残して帰られました。
まだまだ、お若いのに(私くらいかな・・・)
この言葉。そうそう言えません。
とっても、いい家族なんだろうな・・・と、感じました。
これだけでも、ホント、いいご縁でした。

職人としての生き様

昨日、時間を忘れて仕事。
気が付いたら、夜9時を回っていた。
家に着いたら、9時半。
もう、NHKの「プロフェッショナル」(いつもこのネタですみません)
は後半に差しかかっていた。
急いで、お風呂に入ったが、見れたのは後半の15分だけ。
ホント、残念だった。
見ていた方は、どう感じたのだろうか。
私は、自分自身に置き換えながら後半の15分を見てしまった。
静岡県にあるお宅の、ある一部屋を土壁に塗る仕事。
そのご自宅は、潮風が強く、土壁が乾くまでの工程が難しいと
のことだった。
最初は土壁にムラが出てやり直し。
修理ではなく、一からやり直すのだ。
この時点で、すでに親方の持ち出しになると言う。
2回目は慎重に、慎重を重ねて行う。
しかし、数日後、現場に見に行った職人さんが、髪の毛ほどの割れを
発見した。
施主さんは、これで構わないと言うのだが・・・。
でも、その左官職人さんは、やり直しを決めた。
もう3回目。
そこで、ベテランの職人さんは何日もかかって施主さんに迷惑がかかる。と
言ってもめるのだが、その主人公の職人は、「施主さんはどっちがいいのか」を
考えて欲しいと訴えた。
「割れがあっても、納期通りに終わった方が良いのか」、
「遅くなっても、満足してもらった方が良いのか」
この言葉を聞いて、今の自分の気持ちを恥じた。
こんなところで言わない方が良いと思うが、
あえて恥を忍んで、言わせていただく。
ある遠方の方(新潟から見れば遠方)から、ある方を
会して紹介していただいた、大切なお客様。
婚礼家具としてお求めいただいた高価な桐たんす。
それが完成し、お届けの段階になって、いつもお願いしている大手運送会社
さんに運んでもらうことになった。(ある程度は桐の蔵で運ぶのですが・・・)
お届けする前日、ターミナルで運送会社さんがその桐たんすを
落としてしまったのです。
夜、連絡を受けて、すぐに戻してもらうように指示したのですが・・・
結婚する際に、あつらえた特別な逸品。
婚礼家具。
謝るだけですまされる問題ではありません。
私はその時、「すぐに、修理してお届けします」と言ったのです。
(結婚式はその週で、間に合わせようと思ったのです・・)
後で、考え直して、新しい物をお作りしてお届けさせていただきます。
とお伝えしたのですが、そのお客様は、「これをいただきます」と
言ってくれたのです。
私は、このお客様の言葉に甘えてしまったのですが、この左官職人さん
だったら、お客様はどうしてほしいのか?を真っ先に考えたのではないか?
と番組を見ながら思いました。
一番良いことは、何事もなく喜ばれて納まる事なのですが、
いざ、事が起きたときに、その人間性が出てしまうものです。
職人の作り出すものは、言い換えればその職人の分身みたいなものです。
何がどうあれ、最後まで喜んで満足していただけるものづくりを目指して
いかなければならないと、ホント、思いました。
まだまだ、私は甘い。
この番組を見て、職人としての生き様を感じました。
いいお客様と出会えています。
これだけが、救いのようです。
この番組を見て、つい、私自身の中に思いを書いてみました。
追伸
今週は、東京で展示会です。
会場は、今、一番の注目スポット「表参道ヒルズ」の裏というか
隣と言うか、にある、新潟県のアンテナショップ「表参道・新潟館ネスパス」
です。
どうか、お時間を作ってお出かけください。
私も、表参道ヒルズ、見学に行ってきます。

名古屋という文化

週末は、1年ぶりの名古屋での展示会。
心配された名古屋までの道のりは、とてもスムーズ。
暖か気候で、心配はありませんでした。
名古屋って、大手有名自動車メーカーのお膝元。
展示会の会場となるその場所、到着した日は、その企業が全館貸切
物々しい警備と、黒塗りの高級車の数々。
とても、近寄りがたい雰囲気でした。
さすが、世界のト○タです。
今回で2回目の名古屋。
先回も、遠く大阪からお出かけいただいたお客様。
今回は、隣の三重県からお出かけいただいたY様。
そして、なんと!神戸からお出かけいただきましたH様。
本当に遠いところ、また、わかりにくい所、わざわざ、お出かけいただき
まして、ありがとうございました。
会場が、大きすぎて、どこでやっているのか分からない。
と、多くの方々に言われました。
猛省、させていただきます。
展示会を終えての感想は、名古屋って、独特の文化があるな・・・って
そんな感じです。
確かに、女の子は巻き髪で、名古屋嬢って感じでしたし、
弟が食した、手羽先も美味そうでした。
新潟県と比べるのも辺ですが、名古屋の勢いというか、若者の
パワー、街の勢いを感じました。
大水、地震、大雪。
災害が立て続けに起きる新潟と、愛・地球博で活気づいた名古屋。
その違いはあるけど、どことなく、勢いのある街なんだな・・・
東京、大阪とはまた違った文化が、完全に形成されている街。
名古屋って、奥の深い街だな・・・
そんな思いをもって、新潟に帰ってきました。
ご縁を頂きましたお客様。
本当に、ありがとうございました。

北日本新聞に出たみたい。

先週末の展示会は富山市で行ってきたと、ここにも書きましたが
その際に、北日本新聞と、富山新聞の取材を受けていた。
北日本新聞さんは準備の金曜日と初日の土曜日の二日間も、
取材に来てくれた。
最終日の日曜日に新聞に出るのかな?と思っていて、新聞を買ったけど
出てなかったので、それ以降、忘れていた。
しかし、昨日から、どうも富山県からの問い合わせの電話が多い。
今日も、富山県・・・
どうもおかしいので、今日お電話してきてくれたお客様に聞いてみた。
どうやら、火曜日の北日本新聞に出たらしい・・・
で、北日本新聞は富山県では購読者が一番多みたい。
どんな感じで出たのかは、全く知らない。
でも、取材に来てくれた女性の記者の質問や、とても多く写真を撮られたことは
記憶にある。
新潟の展示会のときもそうだったが、マスコミの影響は少なくない。
今回の、富山の展示会も多くのご縁があったが、その会場に来られていない、
新聞の紙面だけのご縁が、どう繋がるのかも不思議なものだ、が・・・
当然ながら、すぐにご縁があるなどと、都合のいい思いはありませんが、
どこかで、繋がってくれれば幸いだな。という思いはどこかにあります。
人と人のつながりは計算できません。
だから、人生は面白いのだと思う。
何だか、真面目になってきましたが・・・
今週は、名古屋での展示会。
新潟、長野、岐阜を通って、名古屋に入ります。
アルプスの麓を通るだけに、雪が心配ですが、この天候なら
問題ないのですが・・・
遠く、兵庫県からお出かけいただけるH様。
お気をつけてお出かけください。

段取り=先を読む力

今日は、もう、春だ!って感じの天気。
工場では、ストーブを消し、何と!窓まで開け!、ホント、久しぶりに
太陽の光を浴びた、気持ちのいい日でした。
春は、もうそこまで来ています。
今日は、あるお客様から頂いた、特注の桐たんすの段取り。
親方にその図面を渡し、木取り(準備)を行い、その部材作りが始った。
さすがに、特注なので、一つ一つ確認しながら親方から提供される
木取りの部材を整えていく。
全て、部材が整い、組み立ての段階になっても気が抜けない。
頭の中で、このたんすには、この板と、この板、この材料が必要で・・・
そのためには、この作業を先にして、板を張って、乾く時間までに、これをやって
乾いてからこれを削って、そして、その頃にこれが出来上がっているな・・・
もう、毎日が頭の中ではこの連続です。
桐たんす職人は、段取りが命。
一日の作業の進行が、その日の朝(前の日の夜というか・・・)には、全て出来上がっていて、始業からは、その段取りに従って、バリバリモードに入ってく。
段取りがいい!って言う事は、いかに先を読んで、効率よく仕事が出来るか。
だと、私は思う。
常に、これを先にやった方が良いか。
それとも、こっちが良いか。
そんな事を考えながら、仕事を進めていく。
ただ単に、与えられた仕事をこなしていくのとは、大違いな作業である。
職人さん達は、全ての工程でそのプロセスがバッチリと計算されている。
その段取り(先を読む力)は、さすがと言うくらいだ。
さすが、プロフェッショナルである。
私も、まだまだ20年の経験の中で、どうやったら早く、正確に
よりよいモノ作りが出来るのだろうか?と毎日、考え、段取りを組み立てる。
それは一日の時間内での戦いでもあり、お客様が喜んでもらえる作品を
お届けしたい!という思いからの行動である。(そのつもりです)
最近、毎日のように、お客様からのお手紙を頂きます。
そこには、届いた桐たんすの写真を、わざわざ撮っていただき、送ってくれる。
そんなお客様の温かな思いのお手紙の数々です。
決して、計算したように先を読む事なんかは出来ませんが、
仕事の段取りだけは、読めているつもりですが・・・
また、今晩も明日の段取りを考えながら・・・