2021年10月26日 新潟日報取材

桐の蔵
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2021年10月26日 新潟日報取材

2021年10月26日 新潟日報取材

展示会開けず注文減少

田上町田上に工場を構える「桐の蔵」。職人がカンナをかけ、箪笥を組み立てる音がこだまする。加茂の桐たんすを生産する加茂市と田上町などは、全国の桐たんす生産量の7割を占める。「木工のまち」だ。

「かつては桐板を干している光景があちこちで見られた」。3代目社長で加茂桐箪笥協同組合理事長の桑原隆さんは語る。現在、組合に加盟するメーカーは18社。非加盟を含めても30社ほど。

生活様式の変化などによる需要減により30年前の半分程度になった。そんな状況で新型コロナウィルス感染拡大が顧客との関係に壁を築いている。

同社は毎年、首都圏や関西で1年に10回以上、展示会を開いてきたが、昨年3月を最後に開けていない。リモートでも案内しているが、新品の注文は2割減った。

巣ごもりの影響か修理の注文は増えているが、新品同様の手間がかかる割りに利益は少なく、カバーしきれていない。桑原さんは「お客とのやりとりが限られてしまい、つらい」と話す。桑原さんが家業を継ぐため1988年に入社した当時は、東京の百貨店の卸問屋からの注文が絶えず、黙っていても売れた。

しかし、住宅の洋風化や婚礼たんす・着物文化の衰退により、百貨店からの注文は減小。嫁入り道具の風習が残っていた名古屋や北陸の家具小売店に販路を求めたが、百貨店を後追いするかのように注文は減った。

99年、社長に就任後、他社に先駆けて直販にかじを切った。工場内にシュールームを設け、ホームページなどを開設。東京や関西などで展示会を開き、客と直接会って箪笥を販売した。古いたんすの修理・リメイクにも目を付け、客とつながり信頼を得ることで生き残ってきた。

だからこそ「直接会い、たんすを見てもらって魅力を伝えられないのは厳しい」とこぼす。さらに、桑原さんが危惧するのは後継者不足だ。1人、2人のメーカーが多く、80代の職人もいる。「この代で終わりだから」と言う空気が業界全体に感じられるという。

自社も後継者はおらず「どこも余裕がなく跡継ぎを育成できない。技術を継承していけるだろうか」と不安を抱く。それでも、「伝統的な本物の桐たんすを求めている人は全国にいる」と桑原さんは語る。また、モダンなデザインを取り入れたたんすに加え、4、5年前からはコーヒーキャニスターや弁当箱など桐の特徴を生かした小物を開発するメーカーが増えてきた。

「たんすが売れれば一番だが、右肩上がりになる事はもうない。うちはたんすの再生。各社が得意な分野を生かし、個性を打ち出して、業界全体で生き残る道を見つけられれば」と願っている。国に対しては「伝統工芸品はパイが小さく、隅っこに追いやられているような業界。「我々を忘れずに、目を向けてほしい」と訴えた。

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