この時代の、職人としての生き様。

    晴れのち、曇り。

先日、お取引先である金具屋さんの社長さんが
工場にお見えになった時の話です。

その金具屋さんの協力工場である、メッキ屋さんと
もう一つの○○屋さんが、廃業すると言う。
後継ぎもいないし、今までやって来た経営者の方も
高齢になり、これ以上はもう、無理だと言う事だそうです。

その社長さんは言う。
「今までの日本を支えてきた産業はもう、だめになってしまう」
ホント、私もそれを聞いて同感しました。

ここ数年なのだろう。
急激な経済の変化と、時代の移り変わりで、我々のような
伝統産業は特にダメージを受けていると言う。

桐たんす業界は、桐たんすを作っている工場だけが良くても
ダメなのです。
それを支える産業(金具や、塗料、そしてそれを運ぶ流通)まで、
桐たんすを支える全ての産業が良くならなくてはダメなのです。

今回、金具屋さんの社長さんに言われたその言葉は、
桐たんす業界だけではない問題だと思うのです。

必ず、一つの産業が成り立つには、数多くの協力会社が
存在するのです。
でも、その産業が時代と共に縮小するならば、その協力
工場は、もろに打撃を受けてしまうと思うのです。

今まで、日本を支えてきたのは、本当に、社員数人の
零細工場だったと思うのです。

でも、今は、「時代が変わった」の一言で片付けられてしまう。
しかし、そんな時代は、あと、数年のような・・・。

やはり、最後は、しっかりと、きちんとした仕事をしたところに
戻って来ると思うのです。

ここ数日、桐の蔵でも刃物の研磨に対しての意見が
職人さんから、多く出ていました。
今まで、研磨をお願いしていた会社は、安いけれど、仕事は
粗末なものでした。

我々、職人の世界では、仕事が一番、価格は二番なのです。
なので、申し分ありませんが、今回、新たにしっかりと仕事(研磨)を
して頂ける工場にお願いする事になったのです。

私の購入(お取引の判断)は、価格ではないのです。
信用,信頼(仕事)だと、特に、これからの時代は思います。

こんな時代だからこそ、目先の事にはとらわれず、
桐の蔵としてのミッション(使命)を、お客様方に
お伝えしていこうと思っています。

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