2006年 7月 の投稿一覧

癒される香り。

先日、桐たんすと桐チェストをお求め頂いたお客様のT様から
工房に贈り物が届いた。
事前に、お電話でお話しを伺っていたので、届いてすぐに
包みを開けてみた。
そこには、手作りのラベンダー細工と、一人一人に宛てた
手作りの小物の数々。
とっても嬉しかった。
中でも、T様の趣味だと言うラベンダー細工は、素晴らしかった。
母が早速、工房のショールームに飾る。
これが、何気にいい香りがする。
今日、仕事を終えショールームの飾り付けを改めてやっていると、
ふーーーっと、いい香がしてくる。
これが、自然の香りなのだろう。
ラベンダーってこんな香りなのか!って、初めて知る。(すみません)
でも、この香り。
嗅げば嗅ぐほど、さりげない香りで、すごくいい!
アロマテラピーて言う言葉もあるくらいだから、香りって
癒されるんだろう。
久しぶりに、いい香りを体験させて頂きました。
T様。
ありがとうございました。

売上よりも、お礼の手紙。

昨日、地元でも有名な会社(企業)の社長であり、先輩で、
いつも私の面倒を見てくれる、友人(大先輩)が、ふらりと、工場に
寄ってくれた。
何でも、出張だったが体調が思わしくなく、休養をとり、
その時間で、桐の蔵の工房に寄ってくれたという。
会社の規模は、月とすっぽん。
方や、数十億円の企業。そして、納税も数億円単位の社長だ。
そんな会社の社長が、ふらりと寄るというものおかしなもの
だが、私たち夫婦の結婚式の司会をしていただいたという、
ご縁もあってもう、十数年お付き合いをさせていただいている。
この社長の言葉、一つ一つが勉強になる。
さすが、社員、百数十人をまとめるだけのことはある。
とても印象に残った言葉の中に、「今年は売上よりも、お客様
からの、お礼状の数を増やしたい」と言う私自身の目標があります、
との事だった。
えっ・・・・・。
桐の蔵みたいな小さな工場の社長が言うのなら分かるが、
そこの会社は、言ったように、百数十人の社員と、売上、数十億である。
それが、売上よりもお礼状とは。
それだけ、一人一人のお客様とより深くお付き合いをしたいと言う
事なのだろう。
お陰様で、桐の蔵も、お客様からのお礼のお手紙や、お客様の感想は、
玄関の壁から、ショールームの壁一面にびっしりと貼ってある。
確かに、これだけのお客様からのお手紙を頂くのに、結構な年月が
かかったが、今では、送っていただいたお一人、お一人のお客様からの
お手紙は、弊社の宝物と、言ってもいい。
お客様から頂いた感想は、決して、良い事ばかりが書かれている
ばかりではないが、それはそれで、勉強になり、この工場をまた一歩、
発展させられるヒントが、お客様からのお言葉には、見え隠れする。
お客様からの感想には、私たちのモノ作りに対する姿勢が、如実に
表される。だから、決して、手は抜けない。
それは、一本の電話での対応から、展示会でのお話、そして、
お届けに上がった時の対応まで、それはそれは、全てチェックされている
と言っても過言ではないくらいだ。
大先輩の社長が言うのも分かるような気がする。
お客様の声は、全てにおいて最優先される。
私たちも、売上よりも、お客様のお礼状が多く届けられる工場に
なれるように努力しなければならない。

結婚と桐たんす、そして両親の思い。

以前から、桐の蔵のお出かけいただいているお客様、H様が、
桐の蔵のショールームにご家族でお越しになられた。
御嬢様の結婚に際して、桐たんすを持たせてあげたいという
ご両親。
そして、大阪で暮らし、出来れば今風のおしゃれな家具を使いたいとい
御嬢様の思い。
両方の思いを尊重しつつ、提案しなければならない。
担当としての難しい思いでした・・・
今までに、数え切れないくらいのお客様とお話させていただき、
いろいろなご家族の状況を見させていただいているので、
両方の思いは痛いほど分かる。
そんな大切な時に、私たちの桐たんすを選んでいただけたこと、
そして、桐たんすでご協力できることは、とても光栄であるし、
何を置いても、ありがたい。
御嬢様は、そんなに高価なものは必要ない。と・・・、
でも、ご両親は、この機会ってニ度とないから、お金なんて気にしないで。
という。
結局は、使う立場の御嬢様のご意見を優先しつつ、桐チェストシリーズに
決まった。でも、その後、心なしかお父様の雰囲気が暗くなった。
お父様は、ホントは伝統的な桐たんすを1本でも持っていってもらいたいと
以前から、なんども言っていたのだ。
その変化に気づき、私は御嬢様に提案する。
お父さんの思いも叶えてあげれませんか。(そんな言い方ではなかったと思うが)
結局は、お父様の強い思い(桐の洋服たんす)をチェスト風のデザインで、
特注することになった。
これでお父様のご機嫌も直り、全てが上手くいった。
一生に一度の、結婚。
そして、その際に用意する身の回りの品々。
H様は、何度も工房のショールムに足を運んで頂いていたので、
ご両親のお気持ちは痛いほど私には、伝わっていた。
桐たんすって、モノの良さもさることながら、持たせてあげる
ご両親の思い我一番大切だと思う。
御嬢様には、今日のこの時を忘れないで欲しい。
こんなにも、思いを込めていることを。
私たちも、この時は、ほんと、いい仕事だと思う瞬間だ。
H様、ありがとうございました。

緑のじゅうたんを抜けて・・・。

週末は、埼玉県所沢市での展示会。
金曜日の夕方に所沢に到着。
トラックを降りて、えっ!、、、すごい!湿気。そして暑い。
新潟は、梅雨だけれど梅雨寒って感じの日が続いていた。
それが、一山超えたら、ホント、梅雨って感じの天気だった。
でも、そんな天気に反して初日から、多くのご縁をいただいた。
前にもお求めいただいたO様。
そして日本橋の展示会にもお出かけいただいたH様。
そして小物の収納をお探しだった、S様。
最後は、来春結婚を控えているO様と、本当に、多くのご縁を
頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。
で、今回の展示会。
あまりにも許しがたいお客様がいた。(こんな言葉ですみません)
二日目の午前中にご夫婦でお越しいただいたお客様だった。
来店するなり、片手で乱暴に引出しを引き、「これは一枚板か?」
と言わんばかりに、チェストの上板を叩く。
見るに見かねた弟が、「引出しは両手で引いていただけませんか」と、
さりげなく言うが・・・。
今度はそのご主人が、チェストの上に肘をつき、チェストの上に
書いてあった説明を読み始めた。
「そのチェストは65万円」
そのご夫婦はもう50歳を過ぎたであろう、ご夫婦。
当然ながら、常識もある方だと思う。
でも、さすがに次から次へと繰り返される、展示品への
乱暴な扱いに私は言った。
「申し訳ありません、展示品に肘をつくのは止めていただけませんか」と。
それを聞き、奥様の言葉はこうだった。
「そんなに、桐たんすって、神経を使わないといけないの・・・」
そうではないだろう。(と私は思った・・)
あまりにも、無神経な態度と、職人を馬鹿にした言葉だった。
いかに展示品といえども、手作りで時間を掛けて作った作品に
肘を付き、乱暴に扱う。
それが許せなくて、そういう扱いをさると、とても不快だと伝えた。
生意気な言い方で、申し訳ないが、そんなお客様には
高価な桐たんすを使う資格なんてない。(ホント生意気で申し訳ない)
乱暴に扱われる桐たんすが可哀想だ。
今までにも展示会にお出かけいただいたお客様にもホント、
いろいろな方がいたが、作り手として、職人として今回は耐えがたかった。
この場で書いて良いのか、迷ったが、職人としての私の
真剣な気持ちを素直に言いたかったので、あえて批判を覚悟で
書くことにした。
桐たんすは、ちょっとしたことでも傷が付いてしまう、敏感なものだ。
いつも神経を尖らせて使ってなんて言わないが、やさしい
気持ちで使ってもらいたい、のは正直な気持ちだ。
展示会で「この引出しすごい!入れると出てくるよ!!」と言って
バタバタ引出しを開け閉めするお客様にはもう慣れたが、本当は、
作り手としては、「・・・」という「気持ちだ。
一言、「引いてもいいですか?」と言われると、ほっとする。
その言葉はあってもいい。(と思う・・・)
展示品と言えども、その桐たんすが出来上がるまでに、どれほどの
手が掛かり、その作品を職人がどんな気持ちで作っているのかを、
分かって欲しい。
人が作り出すものには、数々の職人の気持ちが入っているのだ。