正確に、早く、そして楽に。

小雪。 もう車のタイヤ替えたのに。勘弁してよ・・・。
「正確に、早く」は、手作りが主な工場の職人としては、
常に、意識していること。
今日、私が板を張っていたら、職人、横山松雄が来て、
「ハタガネ」この位置だと楽だな・・・。とぼそっと言った。
ハタガネとは、板と板を合わせるときに使う鉄で出来た道具。
これが数まとまるとけっこう重い。
いつもは床に置いて、そこから持ち上げて取って使うのだが、
私は、それだと時間もかかり疲れるので、腰くらいの台上に
乗せて、そこからハタガネを取って使っていたのだ。
「正確に早く」は、どの業界でも、誰でも言う。
でも、そこに、「楽に」が加わる。
「正確に、早く、辛かったら」その作業は長続きしない。
いかに、負担が掛からず、楽に作業が続けられるかが、
いい職人といえるだろう。
一見、たいした事ないような事が、作業の流れのなかでは、
大きく関わってくることが多い。
今使った道具を、どこに置くか。
今あった場所に置くのと、違う場所に置くのとでは、
次の作業に入る時に、道具を探す時間が、違ってくる。
そんな、些細な事なのだが、優秀な職人は、そこにこだわる。
出来る職人は、作業の流れがあり、リズムがある。
一つ一つの、作業は、全て計算されているのだ。
この作業は、この道具をどこに置き、その次の作業のために、
こうしたほうが良い。と、まるで、プロ将棋士のように、
何手も先まで読んで、段取りを計算しているのだ。
その中で、こうしたほうが「早く、正確に、楽に」出来ることが
あれば、すぐにそれを真似する素直さも兼ね備えている。
それが、プロの職人である。
職歴30年以上を数える職人さんでも、常に、勉強なのだ。
「正確に、早く、そして楽に」
これができれば、本当に職人である。

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