2005年 12月 の投稿一覧

温泉旅館

先日から、温泉旅館さんとのご縁が続いている。
全くの偶然なのだが、桐チェストの温故創新シリーズが県内の温泉旅館の
什器にピックアップされたり、今回は、高級旅館のおかもちの依頼があったり。
(これも作業日記に詳しく書いています)
こんな業界から依頼があるとは・・・
でも、桐の軽さをある方は認めてくれていますし、桐の蔵独特のデザインが
その旅のイメージにあったりと、声がかかったのは素直にうれしい。
今は、陶芸のお店に置くという、低いチェストを作っているし、
以外と、お店で使ってくれる方も多い。
それは、やはり既製品にはない、オリジナルのデザイン。
よくお客様に言われるのは、デザイナーがデザインしたいかにもと言った家具
ではない。と言われる。
そりゃそうだ。桐の蔵の作品は、全て私達のデザイン。
プロのデザイナーに頼んだりしない。
現場の声と、お客様の声から生まれるデザインなのだ。
だから、どちらかというと、野暮ったい。
デザイナーさんのように、シンプルで尖ったようなデザインではないのだ。
地元の同業者の中でも、最近は、桐の蔵のデザインによく似たものも見かける。
それは、それでしょうがないことなのだが、そのまんまマネはやめて欲しい。
でも、デザインだけでは絶対にダメだと思う。
そこには、職人さんの思いと、工場のミッションが絶対いる。
長く使い続けていけるものだからこそ、デザイン以上に大切なものが
あるのです。

手間と思い 

桐たんすの仕上げ方法(塗装)は、伝統的に「との粉」というものを刷毛で塗っていく
との粉塗装が一般的だ。
との粉とは、粘土質の土で産地は京都の山科が有名。
桐の蔵のとの粉も山科産を使っている。
そのとの粉に、染料(やしゃ又はやまと液)というものと水を混ぜて、それを何度も
塗っていくのだ。
塗った跡は、天然のロウをまんべんなく塗って艶を出す。
それに金具を付けて完成。
大まかにはこのような工程だ。
それ以外には、焼き仕上げや最近では、桐の蔵の桐チェストに使われているような
天然の成分から採った「自然オイル」など。
焼き仕上げは、バーナーで桐を焼いていく。
表面の焦げは、たわしで落とした後、お湯でしっかり拭く。
そのまま仕上げても、そこにとの粉を入れていくことも出る。
今日は、この焼き仕上げをやっていた。
焦げをたわしで落としていくのだが、煤が飛んで大変。
体の中にも入ってくるし、マスクをしているが、鼻もまっ黒になり、
結構汚れる。
でも、こげ茶色に仕上がる桐は、渋くていい感じ。
手間のかかる仕上げ方法だが、それなりに味わいが出る。
やはり手間を惜しんでは、良い作品は作れない。
桐たんすに限らず、なんでもそうだと思う。
手間と思い。
この2つのものを、より込めることで、一層仕上がりが良くなると思っている。
職人の手間と思い。
できる限り、精一杯かけてあげたい。