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ちょっと話ますね。
私のつたない文章力で、うまく伝わるかわかりませんが・・・。
東京の日本橋での展示会で私が担当させていただいたA様。
最初の印象は、こんな事を言っては申し訳ないが
「とても暗い人だなぁ」
という感じだった。
年齢は、おそらく40歳台の後半。身なりは、とても品がよく
容姿もきれいな方でした。
ただ顔色が悪く、私が何を話しても、小さな声で
「はい・・。」や「そうですか・・・」
と答えるだけだった。
私は、どこか具合が悪いのかな?と思ったりもしたが、そうでもなさそう・・・。
とにかく暗い。
展示会もいろんな所でやっていると、さまざまなお客様がいらっしゃいますので
あまり詮索せず、説明を続けた。
A様はあるチェストが気になるらしく、その前でずっと考えている。
やっぱり具合が悪いかも?と思い椅子を勧めて座りながら考えてもらった。
ただ休んでいるのか?考えているのかわからない???
変わった人だなぁと思い、再度、話しかける。
そのチェストは引き出し3段の小ぶりなチェスト。
上に物を置いたりしても、ちょうどいい高さだ。
意を決したかのように、A様は購入。
契約書を書いてもらっている時に、A様は話し始めた。
「私、引きこもりなの・・・」
「このチェストの上に仏壇を置くの・・・・主人の・・・」
「主人に一人娘の花嫁姿をみせたくて、強引に式も早めてもらったの。」
「最近は全然、外にも出ないし、しゃべったりもしない。昨日なんでコンビニに一回いっただけ」
「今日だって、外に出たくなかったけど、無理して出ての。そして偶然この展示会に寄ってみたの」
このお話を聞いた時、なぜ暗かったのかわかりました。
情けないですが、なんと話してよいかわかりませんでした。
そして、A様を怪しい人だなと思った自分が嫌になりました。
先日、そのA様から、チェストが届いたとの電話があったのですが、
その電話に出たとき、私はA様とは、気づきませんでした。
なぜって、声が、弾むように明るく、笑っているようだったから・・・。
A様は、本当にチェストが気に入ったらしく笑うように私に、
「ありがとう、ありがとう」と何回も言った。
そしてあまりに嬉しくて友達を呼んで見せたら友達も喜んでくれ
「あなたの笑った顔、久しぶりに見たわ。よかったね。」
と言われたと少し恥ずかしそうに私に言った。
ひとつのチェストが、A様の人生を変えたとは思いませんが、
なにかのキッカケは与えたのかな?と思い、電話を切った後も
しばらく胸が熱くなっていました。
う〜ん、うまく伝えられないです・・・。
もっと頭がよかったらな・・・。